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日本の年金・社会保障制度ガイド

日本の年金制度の基本と外国人の加入義務

ブイ レ クアンブイ レ クアン公開日:2026年3月2日
日本の年金制度の基本と外国人の加入義務

日本に住む外国人の年金加入義務を徹底解説。国民年金と厚生年金の違い、2025年度の保険料額、脱退一時金の申請方法と注意点、社会保障協定、年金未納がビザに与える影響まで、必要な情報をすべて網羅しています。

日本の年金制度の基本と外国人の加入義務

日本に住む外国人にとって、年金制度は避けて通れない重要なテーマです。「外国人でも年金に入る必要があるの?」「帰国したら払った年金はどうなるの?」といった疑問を持つ方は多いでしょう。実は、日本に住民登録をしている20歳以上60歳未満のすべての人は、国籍に関係なく公的年金制度に加入する義務があります。本記事では、日本の年金制度の基本的な仕組みから、外国人が知っておくべき加入義務、保険料、受給条件、そして帰国時に利用できる脱退一時金制度まで、包括的に解説します。

日本の公的年金制度の全体像

日本の公的年金制度は「2階建て構造」と呼ばれ、すべての加入者が加入する国民年金(基礎年金)と、会社員や公務員が加入する厚生年金保険の2つの制度で構成されています。この仕組みは日本の社会保障の根幹を成す制度であり、国民年金と厚生年金の違いを理解することが、正しい手続きの第一歩となります。

!日本の公的年金制度の全体像 - illustration for 日本の年金制度の基本と外国人の加入義務

国民年金(第1号被保険者)

国民年金は、日本に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入する基礎的な年金制度です。自営業者、フリーランス、学生、無職の方が対象となります。2025年度の保険料は月額17,510円で、自分で市区町村の窓口や金融機関を通じて納付します。

厚生年金保険(第2号被保険者)

厚生年金保険は、会社や事業所に雇用されている人が加入する制度です。保険料は給与に応じて計算され、労使折半(従業員と事業主が半分ずつ負担)で支払います。一般的に保険料率は標準報酬月額の18.3%で、このうち半分の9.15%が本人負担となります。厚生年金に加入すると、自動的に国民年金にも加入しているとみなされます。

外国人の年金加入義務と対象者

外国人であっても、日本に住民登録をしている20歳以上60歳未満の方は、年金制度に加入する法的義務があります。これは在留資格(ビザ)の種類に関係なく適用されます。ただし、医療滞在ビザや短期滞在ビザで日本に滞在している場合は対象外です。

区分対象者加入する年金保険料(2025年度)納付方法
第1号被保険者自営業・フリーランス・学生・無職国民年金月額17,510円自分で納付
第2号被保険者会社員・公務員厚生年金+国民年金給与の約18.3%(労使折半)給与天引き
第3号被保険者第2号の配偶者(扶養内)国民年金自己負担なし配偶者の勤務先経由

会社に雇用されている外国人は、雇用主が厚生年金の加入手続きを行います。自営業やフリーランスの方は、住民登録後に市区町村の窓口で国民年金の加入手続きを自分で行う必要があります。

年金保険料の支払い方法と免除制度

年金保険料の支払いは、外国人にとって毎月の負担となります。しかし、経済的に厳しい場合には免除・猶予制度を利用できます。

国民年金保険料の支払い方法

国民年金の保険料は、以下の方法で納付できます:

  • 口座振替:毎月自動で引き落とし(50円の割引あり)
  • 納付書:コンビニ、金融機関、郵便局で支払い
  • クレジットカード:事前申請により毎月自動決済
  • 電子納付:ペイジー、スマートフォン決済アプリ

また、6ヶ月分や1年分をまとめて前納すると割引が適用されます。1年前納の場合、約4,000円の割引を受けることができます。

保険料の免除・猶予制度

所得が低い場合、申請により保険料の全額免除・4分の3免除・半額免除・4分の1免除が認められることがあります。また、学生の場合は「学生納付特例制度」、50歳未満の方は「納付猶予制度」を利用できます。免除や猶予が認められた期間も年金の受給資格期間に算入されるため、必ず申請しましょう。

年金の受給条件と受給額の目安

日本の年金を受給するためには、保険料を合計10年以上(120ヶ月以上)納付する必要があります。これは2017年に25年から短縮された要件です。受給開始年齢は原則として65歳からとなります。

!年金の受給条件と受給額の目安 - illustration for 日本の年金制度の基本と外国人の加入義務

受給額の目安

2025年度の国民年金の満額(40年間納付した場合)は、月額約68,000円です。厚生年金の受給額は、加入期間と支払った保険料(平均報酬額)によって異なります。

多くの外国人にとって10年以上の加入は難しいかもしれませんが、社会保障協定を結んでいる国の出身者は、自国での年金加入期間と日本での加入期間を通算して受給資格を判断できる場合があります。

社会保障協定の対象国

日本は2025年現在、以下の国々と社会保障協定を締結しています:ドイツ、イギリス、韓国、アメリカ、ベルギー、フランス、カナダ、オーストラリア、オランダ、チェコ、スペイン、アイルランド、ブラジル、スイス、ハンガリー、インド、ルクセンブルク、フィリピン、スロバキア、中国、フィンランド、スウェーデン、イタリアなどです。自国が協定国に含まれるか、必ず確認しましょう(参考:日本年金機構)。

帰国時の脱退一時金制度

日本を離れる外国人にとって最も重要な制度の一つが脱退一時金です。これは、日本で支払った年金保険料の一部を帰国後に払い戻してもらえる制度です(脱退一時金の詳細な申請方法はこちら)。

!帰国時の脱退一時金制度 - illustration for 日本の年金制度の基本と外国人の加入義務

脱退一時金の受給要件

  • 日本国籍を持っていないこと
  • 日本国内に住所を有していないこと(転出届を提出済み)
  • 年金保険料を6ヶ月以上納付していること
  • 日本の年金を受給する権利を持っていないこと
  • 最後に被保険者資格を喪失した日から2年以内に請求すること

脱退一時金の注意点

脱退一時金を受け取る際には、いくつかの重要な注意点があります:

  1. 加入期間がリセットされる:脱退一時金を受け取ると、日本での年金加入期間がゼロになります。将来日本に再入国して働く予定がある場合は慎重に検討しましょう
  2. 全額は戻らない:支払った保険料の全額ではなく、一部のみが返還されます
  3. 所得税が課税される:厚生年金の脱退一時金には20.42%の所得税が源泉徴収されます(税金に関する詳細
  4. 社会保障協定との関係:協定国の場合、脱退一時金を受け取ると期間通算ができなくなります

2025年の制度改正では、脱退一時金の支給額計算に用いる月数の上限をさらに8年(96ヶ月)に延長することが検討されています(参考:外国人の年金制度について)。

年金未納のリスクとビザへの影響

近年、日本政府は外国人の年金加入を厳格化しています。年金保険料の未納は以下のような深刻なリスクを伴います:

  • ビザの更新・変更が不許可になる可能性:入管庁は年金や健康保険の支払い状況を確認するようになっています
  • 永住権申請への影響:永住権の審査では年金加入と保険料納付が重要な審査項目です
  • 延滞金の発生:未納が続くと延滞金が加算されます
  • 財産差し押さえ:悪質な場合、給与や銀行口座の差し押さえが行われることがあります

年金の支払いが困難な場合は、未納のまま放置するのではなく、免除制度を積極的に活用しましょう(参考:外国人の年金加入義務)。

年金加入の手続きステップ

日本に来たばかりの外国人が年金に加入するための具体的な手順は以下の通りです:

会社員の場合

  1. 入社時に勤務先が厚生年金の加入手続きを実施
  2. 年金手帳(基礎年金番号通知書)を受け取る
  3. 保険料は毎月の給与から天引き
  4. マイナンバーと基礎年金番号が紐付けられる

自営業・フリーランスの場合

  1. 市区町村の窓口で国民年金の加入手続きを行う
  2. 必要書類:在留カード、パスポート、マイナンバー通知カード
  3. 年金手帳を受け取る
  4. 納付書が届いたら毎月の保険料を納付(口座振替がおすすめ)

手続きで不安がある場合は、市区町村の窓口に相談すれば多言語対応してくれるケースもあります。また、日本年金機構の「ねんきんダイヤル」(0570-05-1165)では英語での相談も可能です(参考:日本の年金ガイド)。

まとめ:外国人が年金について知っておくべきこと

日本の年金制度は複雑に見えますが、外国人として押さえておくべきポイントは明確です。まず、日本に住む限り年金への加入は義務であり、未納はビザの更新や帰国時の手続きに影響します。次に、支払いが困難な場合は免除制度を活用できること、そして帰国時には脱退一時金制度を利用できることを覚えておきましょう。

将来的に日本に長く住む予定がある方は、10年以上の加入期間を目指して年金を将来の生活資金として活用する道もあります。また、社会保障協定が結ばれている国の出身者は、自国の年金と通算できる可能性があるため、年金の受給資格と将来計画をしっかり立てることが大切です。年金に関する不明点は、日本年金機構や市区町村の窓口に気軽に相談してみてください。

ブイ レ クアン
ブイ レ クアン

ベトナム出身、来日16年以上。名古屋大学卒業後、日本企業・外資系企業で11年の実務経験。外国人の日本生活情報を発信。

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