国民年金と厚生年金の違いを徹底解説

日本の国民年金と厚生年金の違いを外国人の視点からわかりやすく解説します。保険料の比較、受給額の差、加入条件の違いから、外国人向けの脱退一時金制度や社会保障協定まで、2025年度の最新データで徹底的にガイドします。
国民年金と厚生年金の違いを徹底解説|外国人が知っておくべき日本の年金制度
日本に住む外国人にとって、年金制度の理解は避けて通れない重要なテーマです。「国民年金と厚生年金、何が違うの?」「外国人も加入しなければならないの?」という疑問を持つ方は多いでしょう。日本の公的年金制度は「2階建て構造」と呼ばれ、1階部分の国民年金(基礎年金)と2階部分の厚生年金で構成されています。この記事では、日本の年金・社会保障制度の中核である国民年金と厚生年金の違いを、外国人の視点からわかりやすく解説します。
日本の年金制度の基本構造|2階建ての仕組みとは
日本の公的年金制度は「2階建て」の構造になっています。1階部分にあたるのが国民年金(基礎年金)で、日本に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入する制度です。外国人であっても、日本に住所がある限り加入義務があります。
2階部分にあたるのが厚生年金で、会社員や公務員など給与所得者が加入する制度です。厚生年金に加入している人は、自動的に国民年金にも加入していることになります。つまり、会社員は国民年金と厚生年金の両方に加入し、将来は両方の年金を受け取ることができるのです。
この2階建て構造を理解することが、日本の年金制度を把握する第一歩となります。日本の税金・確定申告完全ガイドと併せて理解しておくことで、日本の社会保障制度の全体像が見えてきます。
国民年金と厚生年金の違いを比較表で確認
国民年金と厚生年金の違いを、以下の比較表で整理しましょう。
| 項目 | 国民年金(基礎年金) | 厚生年金 |
|---|---|---|
| 対象者 | 20歳以上60歳未満の全住民 | 会社員・公務員 |
| 保険料(2025年度) | 月額17,510円(一律) | 給与の18.3%(会社と折半) |
| 個人負担 | 全額自己負担 | 実質9.15%(半額は会社負担) |
| 平均受給月額 | 約60,586円 | 約154,043円 |
| 満額受給額(2025年度) | 月額69,308円 | 加入期間・給与により変動 |
| 加入手続き | 自分で市区町村に届出 | 会社が手続き |
| 受給開始年齢 | 原則65歳から | 原則65歳から |
| 外国人の加入義務 | あり(住所がある場合) | あり(雇用されている場合) |
この表からわかるように、厚生年金は国民年金に比べて受給額が大幅に多くなります。これは、厚生年金が国民年金の上に積み重なる「2階部分」として機能しているためです。
国民年金の仕組み|加入対象・保険料・受給額
加入対象者
国民年金の加入者は、以下の3つの種別に分けられます。
- 第1号被保険者:自営業者、フリーランス、学生、無職の方(20歳以上60歳未満)
- 第2号被保険者:厚生年金に加入している会社員や公務員
- 第3号被保険者:第2号被保険者に扶養されている配偶者(20歳以上60歳未満)
外国人であっても、日本に住所を有する20歳以上60歳未満の方は国民年金に加入する義務があります(出入国在留管理庁)。日本でのフリーランス・リモートワークをしている方は、第1号被保険者として自分で加入手続きを行う必要があります。
保険料
2025年度の国民年金保険料は月額17,510円で、収入に関係なく一律です。納付方法は口座振替、クレジットカード、コンビニ払いなどがあります。前納制度を利用すると割引を受けることもできます(マネーフォワード)。
受給額
国民年金を40年間(480カ月)満額納付した場合、2025年度の老齢基礎年金は月額69,308円です。ただし、実際の平均受給月額は約60,586円となっています。これは、未納期間がある方や免除を受けていた方がいるためです。
厚生年金の仕組み|加入条件・保険料計算・受給額
加入条件
厚生年金は、以下の条件を満たす事業所で雇用されている方が加入します。
- 常時従業員を使用する法人事業所
- 常時5人以上の従業員がいる個人事業所(一部業種を除く)
- 週の所定労働時間が正社員の4分の3以上のパートタイマー
外国人であっても、上記の条件を満たせば加入義務があります(Bridgers)。日本での仕事の探し方を参考に就職先を探す際は、厚生年金の加入条件も確認しておきましょう。
保険料の計算
厚生年金の保険料率は18.3%で、給与(標準報酬月額)と賞与(標準賞与額)に対して計算されます。この保険料は会社と折半されるため、個人の実質負担は9.15%です。
例えば、月収30万円の場合:
- 厚生年金保険料:30万円 × 18.3% = 54,900円
- 個人負担:54,900円 ÷ 2 = 27,450円
- 会社負担:27,450円
受給額
厚生年金の受給額は加入期間と加入期間中の平均給与によって変わります。2023年度の平均受給月額は約146,429円でした(三菱UFJニコス)。厚労省の2025年5月報告では、平均月額約154,043円まで上昇しています。
国民年金だけの場合と比べると、約2.5倍の受給額となるため、会社員として厚生年金に加入するメリットは非常に大きいといえます。
外国人特有の年金制度|脱退一時金と社会保障協定
脱退一時金制度
日本を離れる外国人にとって最も重要な制度が脱退一時金です。日本の年金に6カ月以上加入し、年金を受給していない外国人が帰国する場合、出国後2年以内に請求することで、納めた保険料の一部が返金されます(マネーフォワード)。
脱退一時金の金額は加入期間によって異なり、最大60カ月分まで計算されます。ただし、納めた保険料の全額が戻るわけではない点に注意が必要です。
社会保障協定
日本は複数の国と社会保障協定を締結しています。この協定は、年金の二重加入問題を解消するためのものです。協定を結んでいる国の出身者は、以下のメリットを受けられます(Divership)。
- 日本と母国での年金保険料の二重払いを防止
- 両国の加入期間を通算して受給資格を判定
- 一定の条件下で母国の年金制度のみに加入可能
協定締結国にはアメリカ、ドイツ、イギリス、韓国、中国など20カ国以上が含まれます。ただし、協定の内容は国によって異なり、厚生年金のみ対象の場合や、国民年金と厚生年金の両方が対象の場合があります。
年金の受給資格と手続き|外国人が押さえるべきポイント
受給資格期間
老齢基礎年金を受給するためには、保険料の納付済期間と免除期間等を合わせて10年以上(以前は25年)の加入期間が必要です。この期間には、社会保障協定による通算期間も含めることができます。
加入手続き
- 国民年金:住所のある市区町村の役所で手続き。在留カードとパスポートが必要です
- 厚生年金:入社時に会社が手続きを行うため、個人での手続きは不要です
日本での住宅探しで転居した場合は、14日以内に転入届と一緒に国民年金の住所変更手続きも行いましょう。
年金手帳・基礎年金番号
年金に加入すると基礎年金番号が付与されます。2022年4月以降は年金手帳の新規発行が廃止され、代わりに「基礎年金番号通知書」が交付されます。この番号は転職時や各種手続きで必要になるため、大切に保管してください。
国民年金と厚生年金の切り替え手続き
日本での生活中、働き方が変わると年金制度の切り替えが必要になることがあります。
会社員から自営業・フリーランスに転職する場合
退職日の翌日から14日以内に、市区町村の役所で国民年金(第1号被保険者)への切り替え手続きを行います。届出が遅れると未納期間が発生するため注意が必要です。
自営業から会社員に就職する場合
新しい勤務先が厚生年金の加入手続きを行うため、個人での届出は不要です。ただし、国民年金の喪失届は自動的に処理されない場合があるため、市区町村に確認することをおすすめします。
配偶者の扶養に入る場合
第2号被保険者の配偶者の扶養に入る場合は、配偶者の勤務先を通じて第3号被保険者への変更届を提出します。年収が130万円未満であることが条件です。
日本の銀行口座・金融サービスの設定と合わせて、年金保険料の口座振替手続きも行うと便利です。
よくある質問(FAQ)
Q1: 外国人でも年金に加入しなければなりませんか?
はい、日本に住所がある20歳以上60歳未満の方は、国籍に関係なく国民年金に加入する義務があります。また、会社に雇用されている場合は厚生年金にも加入します(日本年金機構)。
Q2: 帰国する場合、払った年金保険料は戻ってきますか?
脱退一時金制度により、6カ月以上加入していた場合は保険料の一部が返金されます。ただし、出国後2年以内に請求する必要があります。また、社会保障協定の対象国の方は、加入期間を母国の年金に通算できる場合もあります。
Q3: 国民年金の保険料を払えない場合はどうすればよいですか?
収入が少ない場合は、保険料の免除制度や納付猶予制度を利用できます。市区町村の役所で申請が可能です。免除された期間も受給資格期間に算入されますが、受給額は減額されます。
Q4: 厚生年金と国民年金、どちらが得ですか?
一般的に、厚生年金の方が受給額は多くなります。保険料は給与に比例しますが、半額を会社が負担するため、実質的な個人負担に対するリターンは厚生年金の方が有利です。ただし、加入する年金制度は働き方によって決まるため、自由に選択できるものではありません。
まとめ|外国人が日本の年金制度で損をしないために
国民年金と厚生年金の違いを理解することは、日本で生活する外国人にとって非常に重要です。主なポイントをまとめると以下の通りです。
- 国民年金は日本に住む全ての人が加入する基礎的な年金制度で、保険料は月額17,510円(2025年度)
- 厚生年金は会社員・公務員が加入する上乗せ年金で、保険料は会社と折半
- 厚生年金加入者は受給額が約2.5倍と大幅に多い
- 外国人には脱退一時金制度と社会保障協定という重要な制度がある
- 働き方が変わったら14日以内に切り替え手続きを行う
年金は将来の生活を支える重要な制度です。日本の健康保険・医療制度と並んで、社会保障の柱となる制度ですので、正しく理解して適切に加入しましょう。不明な点がある場合は、最寄りの年金事務所や市区町村の窓口に相談することをおすすめします。
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