雇用保険と失業給付の受け方ガイド

日本で働く外国人が失業したときの雇用保険・失業給付の受け方を徹底解説。ハローワークでの申請手続き、必要書類、給付額の計算方法、在留資格への影響まで、すべてをわかりやすくガイドします。再就職支援制度の活用法も紹介。
雇用保険と失業給付の受け方ガイド|外国人が日本で失業したときに知っておくべきこと
日本で働く外国人にとって、突然の失業は生活だけでなく在留資格にも影響する大きな問題です。しかし、日本の雇用保険制度は国籍に関係なく適用されるため、条件を満たせば外国人でも失業給付(失業手当)を受け取ることができます。
この記事では、雇用保険の仕組みから失業給付の申請手続き、必要書類、給付額の計算方法、さらに外国人特有の注意点まで、わかりやすく解説します。失業という困難な状況でも、正しい知識があれば次のステップに進むための時間と資金を確保できます。
雇用保険とは?外国人も加入できる?
雇用保険は、労働者が失業した場合に生活の安定と再就職の促進を目的として給付を行う日本の社会保険制度です。厚生労働省のハローワークインターネットサービスで詳細な情報が公開されています。
外国人の加入条件
外国人労働者も、以下の条件を満たせば日本人と同じように雇用保険に加入する義務があります:
- 週の所定労働時間が20時間以上であること
- 31日以上の雇用見込みがあること
- 学生でないこと(定時制・通信制を除く)
正社員だけでなく、パートタイムや契約社員であっても上記の条件を満たせば加入対象となります。雇用主には外国人を雇用保険に加入させる法的義務があり、「外国人だから」という理由で加入させないことは違法です。
雇用保険料は給与から天引きされ、労働者負担分は給与の約0.6%(2025年度)です。給与明細に「雇用保険料」の項目があれば、すでに加入していることを確認できます。
失業給付を受けるための3つの条件
失業給付(正式には「基本手当」)を受給するためには、以下の3つの条件をすべて満たす必要があります。
条件1:十分な被保険者期間があること
| 離職理由 | 必要な被保険者期間 |
|---|---|
| 自己都合退職 | 離職前2年間に12か月以上 |
| 会社都合(倒産・解雇) | 離職前1年間に6か月以上 |
| 契約期間満了(更新なし) | 離職前1年間に6か月以上 |
| 正当な理由のある自己都合 | 離職前1年間に6か月以上 |
条件2:就労の意志と能力があること
「働く意志がある」とは、積極的に求職活動を行っていることを意味します。ハローワークでの求職申込みだけでなく、実際に応募や面接を受けることが求められます。
条件3:失業状態であること
現在、就職していない状態であることが必要です。アルバイトや内職をしている場合は、その内容によって失業状態と認められない場合があります。週20時間以上働いた場合や1か月を超える雇用契約を結んだ場合は「就職」とみなされます。
失業給付の申請手続き|ステップバイステップ
失業給付の申請は、居住地を管轄するハローワークで行います。手続きの流れを順番に説明します。
ステップ1:会社から離職票を受け取る
退職後、会社から「雇用保険被保険者離職票-1」と「雇用保険被保険者離職票-2」の2枚が届きます。通常、退職から10日〜2週間程度で届きます。届かない場合は会社に催促するか、ハローワークに相談しましょう。
ステップ2:必要書類を準備する
ハローワークに持参する書類は以下の通りです:
| 書類 | 詳細 |
|---|---|
| 離職票-1・離職票-2 | 会社から届く |
| マイナンバーカード | またはマイナンバー確認書類+本人確認書類 |
| 在留カード | 外国人の場合は必須 |
| 写真2枚 | 3cm×2.5cm、正面上半身 |
| 本人名義の預金通帳 | 振込先口座の確認用 |
| 印鑑 | 認印可 |
ステップ3:ハローワークで求職申込みと受給資格の決定
ハローワークの窓口で求職票に記入し、離職票と一緒に提出します。日本語に不安がある場合は、外国語対応のハローワーク(東京外国人雇用サービスセンターなど)を利用するか、通訳を同伴することをおすすめします。
書類が受理された日が「受給資格決定日」となります。
ステップ4:待期期間(7日間)
受給資格決定日から7日間は「待期期間」と呼ばれ、この間は失業給付を受け取ることができません。この期間はすべての受給者に共通です。
ステップ5:雇用保険説明会への参加
指定された日時に開催される雇用保険説明会に必ず参加してください。ここで「雇用保険受給資格者証」と「失業認定申告書」が配布され、最初の失業認定日が通知されます。
ステップ6:失業認定日にハローワークへ
原則として4週間に1回、指定された失業認定日にハローワークに出向き、求職活動の報告を行います。認定を受けると、認定日から約5営業日後に指定口座に失業手当が振り込まれます。
失業給付の金額と期間|いくらもらえる?
給付額の計算方法
失業給付の日額(基本手当日額)は、退職前6か月間の給与総額を180で割った「賃金日額」をもとに計算されます。
| 賃金日額の範囲 | 給付率 | 基本手当日額の目安 |
|---|---|---|
| 2,746円〜5,110円 | 80% | 2,196円〜4,088円 |
| 5,110円〜12,580円 | 80%〜50% | 4,088円〜6,290円 |
| 12,580円〜13,890円 | 50% | 6,290円〜6,945円 |
一般的に、前職の給与が低いほど給付率が高く(80%)、給与が高いほど給付率が低く(50%)なります。上限額は年齢によって異なり、45〜59歳が最も高い上限額となっています。
給付日数
給付日数は、離職理由、年齢、被保険者期間によって異なります。
| 離職理由 | 被保険者期間 | 給付日数 |
|---|---|---|
| 自己都合退職 | 1年〜5年 | 90日 |
| 自己都合退職 | 5年〜10年 | 120日 |
| 自己都合退職 | 10年〜20年 | 150日 |
| 会社都合(30歳未満) | 1年〜5年 | 90日 |
| 会社都合(30〜44歳) | 1年〜5年 | 120日 |
| 会社都合(45〜59歳) | 1年〜5年 | 180日 |
自己都合退職の給付制限
自己都合退職の場合、待期期間(7日間)に加えて、原則として2か月間の給付制限期間があります(過去5年以内に2回以上の自己都合退職がある場合は3か月)。この間は失業給付を受け取れないため、生活費の準備が重要です。
外国人特有の注意点|在留資格と失業の関係
外国人が日本で失業した場合、在留資格への影響を十分に理解しておく必要があります。
在留資格の取消しリスク
就労ビザ(技術・人文知識・国際業務など)で滞在している外国人が失業した場合、3か月以上正当な理由なく在留資格に該当する活動を行わないと、在留資格が取り消される可能性があります。
ただし、以下の場合は正当な理由として認められます:
- ハローワークに登録し、積極的に求職活動を行っている
- 職業訓練を受けている
- 病気やけがで就労できない期間
入国管理局への届出義務
会社を退職した場合、14日以内に出入国在留管理局に届出をする義務があります。届出をしないと、次回の在留期間更新に悪影響を及ぼす可能性があります。届出は窓口、郵送、またはオンラインで行えます。
失業給付と在留期間の関係
失業給付の受給期間中でも、在留期限が来たら在留期間の更新が必要です。求職活動中であれば「特定活動」への在留資格変更が認められる場合もあります。在留資格について不安がある場合は、日本のビザ・在留資格ガイドも参考にしてください。
失業中に活用できる支援制度
失業給付以外にも、以下のような支援制度を活用できます。
職業訓練(ハロートレーニング)
ハローワークでは、無料の職業訓練(ハロートレーニング)を提供しています。ITスキル、介護、建築など様々なコースがあり、訓練中は失業給付が延長される場合もあります。外国人向けの日本語研修付きコースもあります。
国民健康保険料の減免
失業により収入が大幅に減少した場合、国民健康保険料の減免を申請できます。離職票を持って市区町村の窓口に相談しましょう。
国民年金の免除
失業中は国民年金保険料の免除を申請できます。免除期間中も年金の受給資格期間には算入されるため、必ず申請しましょう。
住居確保給付金
失業により家賃の支払いが困難になった場合、住居確保給付金を申請できます。最大9か月間、家賃相当額が支給されます。日本での住宅探しの記事も合わせてご覧ください。
再就職に向けた活動のポイント
失業給付を受給しながら、計画的に再就職活動を進めましょう。
ハローワークの活用
ハローワークには外国人専門の相談窓口がある場合があります。東京、大阪、名古屋などの主要都市には「外国人雇用サービスセンター」が設置されており、英語や中国語などでの相談が可能です。GaijinPotの失業保険ガイドも参考になります。
求職活動の記録
失業認定を受けるためには、4週間に最低2回以上の求職活動実績が必要です。以下が求職活動として認められます:
- 求人への応募
- ハローワークでの職業相談
- 民間の転職エージェントでの相談
- 企業説明会への参加
- 資格試験の受験
日本での就職活動については、日本での仕事の探し方の記事で詳しく解説しています。
再就職手当
早期に再就職が決まった場合、「再就職手当」が支給されます。給付日数の3分の2以上を残して再就職した場合は残日数の70%、3分の1以上を残した場合は60%が一時金として支給されます。早期の再就職にはこのようなインセンティブもあります。
よくある質問(FAQ)
Q1:帰国する場合、失業給付はもらえますか?
失業給付は日本国内で求職活動を行うことが前提のため、帰国する場合は原則として受給できません。ただし、雇用保険の被保険者期間が6か月以上あれば、脱退一時金として受け取れる場合があります。詳細はハローワークに確認してください。
Q2:アルバイトをしながら失業給付を受けられますか?
週20時間未満の短期・短時間のアルバイトであれば、失業給付を受けながら行うことが可能です。ただし、必ずハローワークに申告する必要があります。申告せずにアルバイトをすると不正受給となり、3倍返しのペナルティが科される場合があります。
Q3:日本語が苦手でも手続きできますか?
はい、可能です。主要都市のハローワークには外国語対応の窓口があります。また、各地の国際交流協会や外国人支援団体で通訳サポートを受けることもできます。
Q4:失業給付の受給中に在留期限が来たらどうすればいいですか?
在留期限の3か月前から更新申請が可能です。求職活動中であることを証明する書類(ハローワークの受給資格者証など)を添えて、在留期間更新許可申請を行ってください。永住権・帰化申請ガイドも参考にしてください。
まとめ
日本で働く外国人にとって、雇用保険と失業給付は重要なセーフティネットです。重要なポイントをまとめると:
- 外国人も日本人と同じ条件で雇用保険に加入し、失業給付を受ける権利がある
- 必要書類を揃えてハローワークで手続きを行う
- 在留資格への影響を理解し、入国管理局への届出を忘れない
- 求職活動を積極的に行い、失業認定を確実に受ける
- 国民健康保険の減免や年金免除などの支援制度も活用する
失業は不安な状況ですが、日本の社会保障制度を正しく活用すれば、次のキャリアに向けた準備期間を確保できます。困ったときは一人で悩まず、ハローワークや外国人支援団体に相談しましょう。日本の税金・確定申告ガイドや日本の銀行口座・金融サービスガイドも合わせて確認し、失業中の金銭管理に役立ててください。
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