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日本の税金・確定申告完全ガイド

所得税の計算方法と税率の仕組み

ブイ レ クアンブイ レ クアン公開日:2026年3月2日
所得税の計算方法と税率の仕組み

日本の所得税の計算方法、7段階の累進課税税率、外国人の在留資格別の課税ルールをわかりやすく解説。年収別シミュレーションや2025年度税制改正の変更点、使える控除の一覧も紹介します。確定申告に必要な知識を網羅した完全ガイドです。

所得税の計算方法と税率の仕組み|外国人にもわかりやすく解説

日本で働く外国人にとって、所得税の仕組みを理解することは生活費の管理や将来の計画において非常に重要です。「給与明細を見ても税金の計算方法がわからない」「累進課税って何?」という疑問を持つ方は多いでしょう。この記事では、日本の所得税の計算方法、税率の仕組み、外国人特有の注意点について、具体的な計算例を交えながらわかりやすく解説します。

日本の所得税とは?基本的な仕組みを理解しよう

所得税とは、個人が1年間(1月1日~12月31日)に得た所得に対して課される国税です。日本では「申告納税制度」を採用しており、納税者自身が所得と税額を計算して申告・納付する仕組みになっています。

ただし、会社員の場合は毎月の給与から所得税が天引き(源泉徴収)され、年末に年末調整で精算されるため、多くの場合は自分で確定申告をする必要がありません。

所得税の計算は大きく分けて以下の流れで行われます:

  1. 収入金額を把握する(給与、事業収入、投資収入など)
  2. 必要経費・控除を差し引いて「課税所得」を算出する
  3. 課税所得に税率を適用して税額を計算する
  4. 税額控除を差し引いて最終的な納税額を確定する

この流れを理解しておくことで、自分の税負担を正確に把握できるようになります。

超過累進課税制度とは?7段階の税率を詳しく解説

日本の所得税は「超過累進課税」という方式を採用しています。これは、所得が増えるほど税率が段階的に高くなる仕組みです。重要なのは、すべての所得に最高税率が適用されるわけではなく、各段階を超えた部分にのみその税率が適用される点です。

例えば、課税所得が500万円の場合、最初の195万円には5%、195万円~330万円の部分には10%、330万円~500万円の部分には20%がそれぞれ適用されます。

以下が2024年・2025年の所得税率表です:

課税所得金額税率控除額
1,000円~194万9,000円5%0円
195万円~329万9,000円10%9万7,500円
330万円~694万9,000円20%42万7,500円
695万円~899万9,000円23%63万6,000円
900万円~1,799万9,000円33%153万6,000円
1,800万円~3,999万9,000円40%279万6,000円
4,000万円以上45%479万6,000円

この表の「控除額」は速算控除と呼ばれ、計算を簡略化するためのものです。実際の税額は「課税所得 × 税率 − 控除額」で求められます。

なお、所得税に加えて復興特別所得税(所得税額の2.1%)も課されるため、実質的な税率はやや高くなります。

所得税の具体的な計算方法|年収別シミュレーション

実際に所得税がいくらになるか、年収別に具体的な計算例を見てみましょう。ここでは給与所得者(会社員)を想定し、社会保険料を年収の約15%として計算します。

年収400万円の場合

  1. 給与所得控除:400万円 × 20% + 44万円 = 124万円
  2. 給与所得:400万円 − 124万円 = 276万円
  3. 社会保険料控除:約60万円
  4. 基礎控除:48万円
  5. 課税所得:276万円 − 60万円 − 48万円 = 168万円
  6. 所得税額:168万円 × 5% = 8万4,000円
  7. 復興特別所得税:8万4,000円 × 2.1% = 約1,764円
  8. 合計税額:約8万5,764円

年収700万円の場合

  1. 給与所得控除:700万円 × 10% + 110万円 = 180万円
  2. 給与所得:700万円 − 180万円 = 520万円
  3. 社会保険料控除:約105万円
  4. 基礎控除:48万円
  5. 課税所得:520万円 − 105万円 − 48万円 = 367万円
  6. 所得税額:367万円 × 20% − 42万7,500円 = 30万6,500円
  7. 復興特別所得税:30万6,500円 × 2.1% = 約6,437円
  8. 合計税額:約31万2,937円

このように、年収が増えると税率が上がるため、手取り額の増加幅は年収の増加幅よりも小さくなります。自分の年収でのシミュレーションはJapan Tax Calculatorなどのツールも活用できます。

外国人の在留資格別の課税ルール

外国人が日本で所得税を納める場合、在留資格や居住期間によって課税の範囲が大きく異なります。出入国在留管理庁のポータルサイトでも確認できますが、大きく3つのカテゴリに分かれます。

永住者(居住者)

日本に5年以上住んでいる、または永住の意思がある外国人は「永住者」として扱われます。永住者は国内・国外のすべての所得に対して日本の所得税が課されます。日本人と同じ税率・控除が適用されます。

非永住者

日本に1年以上5年未満住んでいて、永住の意思がない外国人は「非永住者」に該当します。非永住者は国内源泉所得と、国外から日本に送金された所得に対して課税されます。つまり、海外で得た所得を日本に送金しなければ、その分は課税されません。

非居住者

日本に住所がなく、1年以上の居住実績がない外国人は「非居住者」です。非居住者は国内源泉所得のみに課税されます。給与所得の場合、控除なしで一律20.42%(復興特別所得税を含む)のフラット税率が適用される点に注意が必要です。

PwCの解説ページでも詳しい情報が確認できます。

知っておくべき主な所得控除の種類

所得税を計算する際に、課税所得を減らすために利用できる控除にはさまざまな種類があります。外国人も利用できる主な控除を確認しましょう。

  • 基礎控除:すべての納税者に適用される控除で、合計所得2,400万円以下の場合は48万円が控除されます。2025年度からは58万円に引き上げられる予定です。
  • 給与所得控除:給与所得者に自動的に適用される控除で、収入金額に応じて計算されます。最低55万円から上限195万円まで段階的に設定されています。
  • 社会保険料控除:健康保険、年金、雇用保険などの社会保険料の全額が控除されます。
  • 配偶者控除・配偶者特別控除:配偶者の所得が一定以下の場合に適用されます。最大38万円の控除が受けられます。
  • 扶養控除:16歳以上の扶養親族がいる場合に適用されます。控除額は扶養親族の年齢により38万円~63万円です。
  • 医療費控除:年間の医療費が10万円(または総所得の5%)を超えた場合に、超過分が控除されます。
  • 生命保険料控除:生命保険、介護医療保険、個人年金保険の保険料について、最大12万円の控除が受けられます。
  • 寄附金控除ふるさと納税を含む寄附金について控除が受けられます。

これらの控除を最大限活用することで、納税額を適法に減らすことが可能です。

2025年度税制改正のポイント|何が変わる?

2025年度の税制改正では、所得税に関するいくつかの重要な変更が行われました。外国人にも影響する主な変更点を確認しましょう。

基礎控除・給与所得控除の引き上げ

基礎控除が48万円から58万円に、給与所得控除の最低額が55万円から65万円に引き上げられました。これにより、所得税の非課税ラインが従来の103万円から123万円に拡大しています。パートやアルバイトで働く配偶者にとっては大きな変更です。

特定親族特別控除の創設

19歳~22歳の扶養親族について、新たに「特定親族特別控除」が創設されました。これにより、大学生の子供がいる家庭の税負担が軽減されます。

外国人への影響

基礎控除と給与所得控除の引き上げは、日本で働くすべての外国人に恩恵があります。特に、年収が比較的低いパートタイムや短時間勤務の方には影響が大きいでしょう。

住民税との違いと合計税負担

所得税と合わせて理解しておくべきなのが住民税です。住民税は都道府県民税と市区町村民税を合わせたもので、一律10%の税率が適用されます。

項目所得税住民税
課税主体都道府県・市区町村
税率5%~45%(累進課税)一律10%
基礎控除48万円(2025年~58万円)43万円
課税時期所得を得た年翌年6月~翌々年5月
納付方法源泉徴収・確定申告特別徴収・普通徴収

住民税は前年の所得に基づいて翌年に課税されるため、来日1年目は住民税がかからないケースがほとんどです。逆に、帰国する際には前年の住民税の支払いが残る場合があるので、帰国時の税金手続きを事前に確認しておきましょう。

確定申告が必要なケースと手続きの流れ

会社員の場合は年末調整で所得税が精算されますが、以下のケースでは確定申告が必要です:

  • 年収が2,000万円を超える場合
  • 2か所以上から給与を受けている場合
  • 副業収入が年間20万円を超える場合
  • フリーランスとして収入がある場合
  • 医療費控除やふるさと納税の寄附金控除を受けたい場合
  • 外国税額控除を申請する場合
  • 年の途中で退職し、年末調整を受けていない場合

確定申告の期間は毎年2月16日~3月15日です。e-Taxを使えばオンラインで申告できるため、日本語に不安がある外国人でも比較的スムーズに手続きできます。

外国人が所得税で注意すべき3つのポイント

最後に、日本で働く外国人が所得税に関して特に注意すべきポイントをまとめます。

1. 租税条約の確認

日本は多くの国と租税条約を締結しています。母国との租税条約により、特定の所得について減免や免除が受けられる場合があります。特に短期滞在者免税(183日ルール)は多くの条約に含まれているので、該当する可能性がある場合は確認しましょう。

2. 海外送金と課税の関係

非永住者の場合、海外から日本への送金額が課税対象に影響します。大きな金額を海外から送金する際は、その資金の性質(給与なのか貯蓄なのかなど)を記録しておくことが重要です。JETROのガイドも参考になります。

3. マイナンバーの取得と管理

日本で働く外国人はマイナンバー(個人番号)の取得が必要です。確定申告や各種税務手続きで必須となるため、在留カードの届出とともに早めに取得しましょう。銀行口座の開設にもマイナンバーが求められるケースが増えています。

まとめ

日本の所得税は超過累進課税制度により、5%から45%の7段階で課税されます。外国人の場合は在留資格や居住期間によって課税範囲が異なるため、自分がどのカテゴリに該当するかを正しく理解することが大切です。各種控除を適切に活用し、必要に応じて確定申告を行うことで、適正な税負担に抑えることができます。税金の仕組みを理解して、日本での生活をより安心なものにしましょう。

日本の税金全般については、日本の税金・確定申告完全ガイド日本の税金の種類と外国人の納税義務も合わせてご覧ください。

ブイ レ クアン
ブイ レ クアン

ベトナム出身、来日16年以上。名古屋大学卒業後、日本企業・外資系企業で11年の実務経験。外国人の日本生活情報を発信。

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