確定申告のやり方とe-Taxの使い方ガイド

外国人向けに確定申告のやり方とe-Taxの使い方をステップごとに解説。必要書類一覧、マイナンバーカードの準備方法、よくある間違い、控除の活用法まで、日本での確定申告が初めての方にもわかりやすく紹介します。
確定申告のやり方とe-Taxの使い方ガイド【外国人向け完全解説】
日本で働く外国人にとって、確定申告(かくていしんこく)は避けて通れない手続きのひとつです。「確定申告って何?」「自分は申告が必要?」「e-Taxはどう使うの?」——そんな疑問を持つ方は多いでしょう。特に日本語での税務手続きは、日本人でも複雑に感じるものです。
この記事では、外国人が日本で確定申告を行うための手順をステップごとにわかりやすく解説します。e-Taxの使い方から必要書類の準備、よくある間違いまで、初めての方でも迷わず申告できるよう丁寧にガイドします。
確定申告についての基本的な知識は、日本の税金・確定申告完全ガイドで詳しく紹介していますので、あわせてご覧ください。
確定申告とは?外国人に必要な理由
確定申告とは、1月1日から12月31日までの1年間の所得を計算し、翌年に所得税の金額を確定して税務署に申告・納税する手続きです。令和7年分(2025年分)の確定申告期間は2026年2月16日(月)から3月16日(月)までとなっています。
日本に居住する外国人は、日本の税法上「居住者」として扱われ、原則として全世界所得(日本国内外を問わず得たすべての所得)に対して日本の所得税が課されます。ただし、租税条約が適用される場合は免除や軽減が受けられることもあります。詳しくは租税条約と二重課税の回避方法をご確認ください。
会社員として働いている方は、通常、勤務先が年末調整を行うため、確定申告が不要な場合があります。しかし、以下のケースでは確定申告が必要です。
- フリーランス・個人事業主として働いている
- 2カ所以上の勤務先から給与を受けている
- 年間の給与収入が2,000万円を超える
- 副業の所得が年間20万円を超える
- 不動産収入や投資による利益がある
- 医療費控除やふるさと納税の還付を受けたい
確定申告に必要な書類一覧
確定申告をスムーズに進めるためには、事前に必要な書類を揃えておくことが重要です。以下の表に、外国人が確定申告で必要となる主な書類をまとめました。
| 書類名 | 内容・入手先 | 必要なケース |
|---|---|---|
| 確定申告書(A or B) | 国税庁HPまたは税務署で入手 | 全員必須 |
| 源泉徴収票 | 勤務先から受け取る | 給与所得がある方 |
| マイナンバーカード | 市区町村の窓口で申請 | 全員必須(通知カードでも可) |
| 本人確認書類 | パスポート・在留カードなど | 全員必須 |
| 医療費の領収書 | 病院・薬局で受け取る | 医療費控除を受ける方 |
| 寄附金受領証明書 | 寄附先から届く | ふるさと納税等をした方 |
| 国外送金証明書 | 銀行・送金サービスで取得 | 国外扶養親族を申告する方 |
| 親族関係書類(翻訳付き) | 本国の公的機関で発行 | 国外扶養親族を申告する方 |
| 経費の領収書・帳簿 | 自身で保管・記録 | 個人事業主・フリーランス |
外国人特有の注意点として、国外居住親族の扶養控除を申請する場合は、送金証明書や親族関係書類(日本語翻訳付き)が必要です。これらの書類は取得に時間がかかることが多いため、早めに準備を始めましょう。
必要書類について詳しくは、マネーフォワード クラウド確定申告の解説も参考になります。
e-Taxとは?メリットと事前準備
e-Tax(イータックス)は、国税庁が提供するオンライン確定申告システムです。自宅にいながらパソコンやスマートフォンで確定申告書の作成・提出ができる便利なサービスです。
e-Taxを使う5つのメリット
- 自宅から24時間いつでも申告可能——税務署に行く必要がありません
- 還付金の処理が早い——書面提出より約2~3週間早く還付されます
- 添付書類の省略——源泉徴収票や医療費の領収書などの添付が不要(保管義務あり)
- 多言語対応——確定申告書等作成コーナーは英語・中国語・ベトナム語・ポルトガル語・ネパール語に対応
- 自動計算機能——税額の計算を自動で行ってくれるため、計算ミスを防げます
e-Taxの利用に必要なもの
e-Taxを利用するには、以下のいずれかの方法で本人認証を行います。
方法①:マイナンバーカード方式(推奨)
- マイナンバーカード
- ICカードリーダー、またはスマートフォン(NFC対応)
- 利用者証明用電子証明書の暗証番号
方法②:ID・パスワード方式
- 税務署で発行されたe-Tax用のID(利用者識別番号)
- パスワード(暗証番号)
マイナンバーカード方式が推奨されていますが、カードがまだない方はID・パスワード方式でも利用できます。ただし、ID・パスワード方式は暫定的な措置であり、将来的にはマイナンバーカード方式に一本化される予定です。
重要な注意点: 非居住者(日本に住所を持たない方)はe-Taxを利用できません。その場合は税務署への郵送、または直接提出が必要です。
e-Taxでの確定申告の手順【ステップバイステップ】
ここからは、実際にe-Taxで確定申告を行う具体的な手順を解説します。
ステップ1:確定申告書等作成コーナーにアクセス
国税庁の確定申告書等作成コーナーにアクセスします。「作成開始」をクリックし、提出方法として「e-Tax(マイナンバーカード方式)」または「e-Tax(ID・パスワード方式)」を選択します。
ステップ2:本人認証を行う
マイナンバーカード方式の場合は、カードをICカードリーダーまたはスマートフォンにかざして読み取ります。暗証番号を入力して本人認証を完了させます。
ステップ3:申告書の種類を選択
所得の種類に応じて、適切な申告書を選びます。
- 給与所得のみの方 → 「所得税の確定申告書」を選択
- 事業所得がある方(フリーランス等)→ 「所得税の確定申告書」+青色申告決算書/収支内訳書
- 副業収入がある方 → 「所得税の確定申告書」を選択
ステップ4:所得情報を入力
源泉徴収票を見ながら、給与収入・源泉徴収税額・社会保険料などの情報を入力します。マイナポータル連携を利用すると、一部の情報は自動入力されるため便利です。
副業収入の確定申告方法については、別記事で詳しく解説しています。
ステップ5:控除情報を入力
各種控除を申請する場合は、この画面で情報を入力します。
- 医療費控除:年間10万円を超える医療費がある場合
- 社会保険料控除:国民健康保険・年金の支払い
- 生命保険料控除:生命保険に加入している場合
- 扶養控除:国外に扶養親族がいる場合
使える控除の詳細は外国人が使える税金控除の一覧と活用法でまとめています。
ステップ6:申告内容を確認・送信
入力した内容を確認し、問題がなければ「送信」ボタンをクリックします。送信が完了すると受信通知(受付番号)が表示されるので、必ず保存しておきましょう。
ステップ7:納税または還付
- 納税が必要な場合:振替納税、クレジットカード納付、コンビニ納付などが利用可能
- 還付を受ける場合:指定した銀行口座に振り込まれます(e-Tax申告の場合、約3週間程度)
外国人がよくする間違いと注意点
確定申告で外国人が陥りやすいミスや注意すべきポイントを紹介します。
1. 申告期限を過ぎてしまう
確定申告の期限は毎年3月15日前後です(土日の場合は翌営業日)。期限を過ぎると延滞税や無申告加算税が課される場合があります。特に初めての方は、2月中に準備を始めることをおすすめします。
2. 居住者・非居住者の区分を間違える
日本に1年以上居住している(または居住する意思がある)場合は「居住者」として扱われます。この区分によって課税される所得の範囲が異なるため、正確に判断することが重要です。
3. 国外所得の申告漏れ
居住者の外国人は、海外で得た所得も申告する義務があります。海外の銀行口座の利子、海外株式の配当、母国での不動産収入なども申告対象です。
4. 控除の申請を忘れる
ふるさと納税や医療費控除など、知らないだけで受けられる控除が多くあります。特に外国人は制度を知らないケースが多いので、事前に確認しておきましょう。
5. 書類の翻訳を用意しない
海外の書類を添付する場合は、日本語の翻訳を添付する必要があります。公的な翻訳でなくても自分で翻訳したものでも認められますが、正確な翻訳を心がけましょう。
確定申告の方法を比較:e-Tax vs 書面 vs 税務署
確定申告には複数の提出方法があります。自分に合った方法を選びましょう。
| 項目 | e-Tax(オンライン) | 書面郵送 | 税務署窓口 |
|---|---|---|---|
| 場所 | 自宅(PC/スマホ) | 自宅→郵便局 | 税務署 |
| 必要なもの | マイナンバーカード+端末 | 印刷環境 | 本人確認書類 |
| 所要時間 | 30分~1時間 | 1~2時間+郵送 | 待ち時間含め2~4時間 |
| 還付スピード | 約3週間 | 約1~2ヶ月 | 約1~2ヶ月 |
| 添付書類 | 原則不要(保管義務あり) | 原本添付が必要 | 原本添付が必要 |
| 多言語対応 | あり(6言語) | なし | 一部の税務署で通訳対応 |
| おすすめ度 | ★★★★★ | ★★★☆☆ | ★★☆☆☆ |
e-Taxは圧倒的に便利ですが、初めてマイナンバーカードを利用する場合はセットアップに少し時間がかかります。政府広報オンラインのe-Tax案内も参考にしてください。
フリーランス・個人事業主の確定申告
フリーランスや個人事業主として働く外国人は、より詳細な確定申告が必要です。
青色申告と白色申告の違い
- 青色申告:最大65万円の控除が受けられるが、複式簿記での記帳が必要
- 白色申告:手続きは簡単だが、特別控除はない
長期的に日本で事業を続ける予定があれば、青色申告の届出をしておくことをおすすめします。
経費として認められるもの
フリーランスが経費として計上できる主な項目には、通信費、交通費、オフィス賃料(在宅の場合は家賃の一部)、機材・ソフトウェア購入費、接待交際費などがあります。
経費管理の詳しい方法については、フリーランスの税金と経費管理のポイントで解説しています。
困ったときの相談先
確定申告でわからないことがあった場合の相談先を紹介します。
- 税務署の無料相談——確定申告期間中は特設会場で無料相談が受けられます
- 国税庁の電話相談センター——電話番号は0570-00-5901(ナビダイヤル)
- 多言語対応の税理士——外国人向け税理士事務所に相談する方法もあります
- 自治体の外国人相談窓口——多くの市区町村で多言語での生活相談に対応しています
- 確定申告書等作成コーナーのヘルプ——JAPAN LIFE PORTALなどのガイドも役立ちます
日本の銀行口座の情報が還付金の受取に必要になりますので、事前に口座情報を確認しておきましょう。
まとめ:確定申告は早めの準備が大切
確定申告は外国人にとって複雑に感じられますが、正しい手順に沿って進めれば決して難しくありません。ポイントをまとめると:
- 申告期限(3月16日頃)までに必ず提出する
- e-Taxを使えば自宅から簡単に申告できる
- マイナンバーカードの準備を早めに行う
- 必要書類は余裕を持って集める
- 使える控除は漏れなく申請する
- わからないことは税務署や専門家に相談する
確定申告をきちんと行うことで、払いすぎた税金の還付を受けられるケースも多くあります。初めてで不安な方は、まず確定申告書等作成コーナーにアクセスして、多言語マニュアルを確認してみてください。
日本の税金制度全体については、日本の税金・確定申告完全ガイドや所得税の計算方法と税率の仕組みもあわせてお読みください。正しい知識を身につけて、安心して日本での生活を楽しみましょう。
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