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日本の法律・トラブル対処完全ガイド

DV被害者の支援制度と相談先

ブイ レ クアンブイ レ クアン公開日:2026年3月2日
DV被害者の支援制度と相談先

日本に住む外国人のDV被害者が利用できる支援制度・相談窓口を徹底解説。DV相談プラス(10言語対応)、保護命令制度、シェルター利用方法、在留資格の保護措置など、安全に暮らすために必要な情報をまとめました。まずは勇気を出して相談してみてください。

DV被害者の支援制度と相談先|外国人が日本で安全に暮らすために

日本に住む外国人にとって、DV(ドメスティック・バイオレンス)は深刻な問題です。言葉の壁、在留資格の不安、経済的依存、情報不足など、複数の要因が重なり、被害を受けていても助けを求められないケースが少なくありません。しかし、日本のDV防止法は国籍や在留資格を問わず、すべての人を保護の対象としています。2024年4月にはDV防止法が改正施行され、精神的暴力も保護命令の対象に拡大されました。

この記事では、外国人DV被害者が利用できる支援制度、相談窓口、法的保護について詳しく解説します。一人で悩まず、まずは相談することが安全への第一歩です。

DVとは?日本の法律における定義

DV(ドメスティック・バイオレンス)とは、配偶者やパートナーからの暴力を意味します。日本の「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」(通称:DV防止法)では、以下の行為がDVとして認められています。

DVの種類具体例2024年改正での変更
身体的暴力殴る、蹴る、物を投げつける従来通り保護命令の対象
精神的暴力暴言、無視、脅迫、行動制限新たに保護命令の対象に追加
性的暴力性行為の強要、避妊に非協力的保護命令の対象
経済的暴力生活費を渡さない、働かせない相談・支援の対象
社会的暴力外出制限、家族・友人との連絡禁止相談・支援の対象

重要なのは、婚姻関係にない交際相手からの暴力や、事実婚のパートナーからの暴力も法律の保護対象であることです。また、外国人であっても日本人と同じ保護を受ける権利があります。

外国人DV被害者が直面する特有の困難

外国人のDV被害者は、日本人の被害者とは異なる特有の困難を抱えています。これらの問題を理解することが、適切な支援につながります。

在留資格への不安

配偶者ビザ(日本人の配偶者等)で在留している外国人は、「離婚したら日本にいられなくなる」という恐怖からDV被害を我慢してしまうケースが多く見られます。しかし、DV被害者については在留資格の取り消しに関する特別な保護措置があります。具体的には、6ヶ月以上配偶者としての活動を行っていなくても、DVが原因であれば在留資格の取消対象外となります。

詳しい在留資格の問題については、在留資格のトラブルと入管への対応方法も参考にしてください。

言語の壁

日本語が十分に話せない場合、被害の状況を説明することや、法的手続きの理解が困難になります。しかし、現在は多言語対応の相談窓口が充実しており、10言語以上で相談が可能です。

経済的依存

配偶者に経済的に依存している場合、逃げた後の生活が心配で行動に移せないことがあります。しかし、生活保護やシェルターなどの公的支援は、外国人でも条件を満たせば利用可能です。

情報不足

日本の支援制度や法的権利について知らないために、助けを求められないケースも多くあります。この記事で紹介する情報が、安全な生活への一歩となれば幸いです。

すぐに相談できる窓口一覧【多言語対応あり】

DVの被害を受けている場合、まずは相談することが重要です。以下の窓口は、外国人でも安心して相談できます。

配偶者暴力相談支援センター

全都道府県に設置されている公的な相談窓口です。国籍や在留資格を問わず、誰でも相談できます。DV相談ナビダイヤル #8008 に電話すると、最寄りの配偶者暴力相談支援センターに接続されます。

DV相談プラス(内閣府)

DV相談プラスは、内閣府が運営する相談サービスで、10言語に対応しています。

相談方法対応時間対応言語
電話相談24時間対応日本語・英語・タガログ語ほか
チャット相談12:00〜22:0010言語対応
メール相談24時間受付10言語対応
SNS相談時間帯あり多言語対応

対応言語は英語、中国語、韓国語、タガログ語、ポルトガル語、スペイン語、タイ語、ベトナム語、インドネシア語、ネパール語です。令和5年度の相談対応総件数は41,160件に達しており、多くの方が利用しています。

その他の重要な相談窓口

相談窓口電話番号対応時間言語
DV相談ナビ#8008各センターによる日本語中心
DV相談プラス0120-279-88924時間10言語
TELL03-5774-09929:00〜23:00英語
よりそいホットライン0120-279-33824時間多言語対応
法務省人権相談0570-003-110平日8:30〜17:1510言語
警察相談#9110各県警による通訳対応あり

緊急の場合は、迷わず 110番(警察) に電話してください。警察では通訳サービスの手配も可能です。警察との対応方法と外国人の権利についても確認しておくと安心です。

保護命令制度の仕組みと申請方法

保護命令とは、裁判所がDV加害者に対して被害者への接近を禁止する命令です。2024年の法改正により、精神的暴力も保護命令の申立て理由として認められるようになりました

保護命令の種類

保護命令の種類内容期間
接近禁止命令被害者の身辺へのつきまとい等の禁止1年間
退去命令被害者と共に住む住居からの退去2ヶ月間
電話等禁止命令電話・メール・SNS等の連絡禁止1年間
子への接近禁止命令被害者の子供への接近禁止1年間
親族等への接近禁止命令被害者の親族等への接近禁止1年間

申請に必要な条件

保護命令を申し立てるには、以下のいずれかを事前に行っている必要があります:

  1. 配偶者暴力相談支援センターへの相談実績がある
  2. 警察への相談・援助の申出をしている
  3. 公証人面前での宣誓供述書を作成している

外国人の場合、弁護士の探し方と法律相談の受け方を参考に、法的支援を受けることを強くおすすめします。法テラス(日本司法支援センター)では、収入要件を満たせば無料で弁護士に相談できます。

DVシェルター(一時保護施設)の利用方法

DVシェルターは、DV被害者が安全に避難できる施設です。外国人でも利用可能で、国籍や在留資格は問われません。

シェルターの種類と特徴

公的シェルター(婦人相談所等)は、配偶者暴力相談支援センターを通じて入所でき、通常約2週間の一時保護が行われます。食事や生活必需品が提供され、費用は原則無料です。

民間シェルターは、NPO法人などが運営しており、公的シェルターより長期間の滞在が可能な場合もあります。多言語対応のシェルターもあり、外国人に特化した支援を行っている団体もあります。

シェルター利用の流れ

  1. 相談窓口に連絡する(DV相談プラス、配偶者暴力相談支援センターなど)
  2. 状況の聞き取りが行われる(多言語対応あり)
  3. 緊急性の判断が行われる
  4. 一時保護の決定後、シェルターに入所
  5. 自立に向けた支援(住居探し、生活保護申請、在留資格変更など)

シェルターの所在地は被害者の安全のため非公開です。直接訪問することはできないので、必ず相談窓口を通じて入所手続きを行ってください。

在留資格の保護と変更手続き

DV被害外国人にとって最も心配な問題の一つが在留資格です。入管庁の方針では、DV被害者に対して特別な配慮がなされています。

在留資格に関する保護措置

  • 在留資格の取り消し猶予:DV被害が原因で配偶者としての活動を6ヶ月以上行っていない場合でも、在留資格は取り消されません
  • 住所変更届の免除:DV加害者に居場所を知られないよう、住所変更届を出さなくても不利益を受けません
  • 在留期間の更新:DV被害の事情を考慮した上で在留期間の更新が認められます

離婚後の在留資格変更

DV被害により離婚した場合、以下の選択肢があります:

変更先の在留資格条件備考
定住者日本人との間に子供がいる場合など最も一般的な変更先
特定活動就職活動中、裁判中など一時的な在留資格
就労ビザ就労先が確定している場合雇用先の協力が必要

在留資格の変更手続きについては、日本のビザ・在留資格完全ガイドで詳しく解説しています。

DV被害後の生活再建と利用できる支援

DVから逃れた後の生活再建も重要なステップです。外国人でも利用できる支援制度があります。

経済的支援

生活保護は、在留資格によっては外国人でも受給できる可能性があります。永住者、定住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等の在留資格を持つ方が対象です。

児童扶養手当は、ひとり親家庭の経済的支援制度で、外国人でも条件を満たせば受給可能です。

住居支援

公営住宅への優先入居制度があり、DV被害者はいくつかの自治体で優先的に入居申請が可能です。住まい探しの詳細は、日本での住宅探し完全ガイドをご覧ください。

就労支援

ハローワーク(公共職業安定所)では、DV被害者向けの就労支援プログラムも提供しています。日本語能力に不安がある場合も、外国人向けの就労相談コーナーを利用できます。仕事探しについては、日本での仕事の探し方完全ガイドも参考にしてください。

子供のケア

子供がいる場合、以下の支援を受けられます:

  • 母子生活支援施設への入所(母子が一緒に生活できる施設)
  • スクールカウンセラーによる子供の心理的サポート
  • 児童相談所での相談と一時保護

大使館・領事館のサポート

母国の大使館や領事館も重要な相談先です。アメリカ大使館やフィリピン大使館など、多くの大使館がDV被害者向けの支援情報を提供しています。

大使館ができること:

  • 相談窓口の紹介と情報提供
  • 帰国支援(希望する場合)
  • 通訳の手配や法的情報の提供
  • 緊急時の一時的な保護(一部の大使館)

ただし、大使館に相談したことが加害者に知られることを心配する場合は、まず日本の相談窓口に連絡することをおすすめします。

緊急時の安全計画の立て方

今すぐ逃げる必要がない場合でも、万が一に備えて安全計画を準備しておくことが重要です。

事前に準備しておくもの

  • パスポート(コピーも別の場所に保管)
  • 在留カード
  • 健康保険証
  • 通帳・キャッシュカード
  • 重要書類のコピー(婚姻届、出生届、診断書など)
  • 着替えと日用品
  • 信頼できる人の連絡先リスト
  • 相談窓口の電話番号(DV相談プラス:0120-279-889)

安全に逃げるためのポイント

  1. 相談窓口に事前に連絡し、逃げる計画を一緒に立てる
  2. スマートフォンの位置情報をオフにする
  3. SNSへの投稿を控える
  4. 信頼できる友人に計画を伝える
  5. 緊急時は迷わず110番に電話する

まとめ:一人で悩まず、まず相談を

DVは決してあなたの責任ではありません。外国人であっても、日本の法律はあなたを守ります。2024年の法改正で保護の範囲はさらに拡大されています。

今すぐ相談できる窓口:

  • DV相談プラス(10言語対応):0120-279-889(24時間無料)
  • DV相談ナビ:#8008
  • 緊急時:110番(警察)

在留資格の心配、言葉の壁、経済的な不安——これらの問題には必ず解決策があります。まずは勇気を出して相談してみてください。法律・トラブル対処完全ガイドも併せて参考に、日本で安全に暮らすための知識を身につけましょう。

あなたの安全と幸せは、何より大切です。

ブイ レ クアン
ブイ レ クアン

ベトナム出身、来日16年以上。名古屋大学卒業後、日本企業・外資系企業で11年の実務経験。外国人の日本生活情報を発信。

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