確定申告書の記入ガイドと提出方法

日本で働く外国人向けに確定申告書の記入方法と提出手順をステップごとに解説。確定申告書の構成、e-Taxの使い方、必要書類、控除の種類、期限とペナルティまで初めてでもわかる完全マニュアルです。多言語サポート情報も紹介します。
確定申告書の記入ガイドと提出方法|外国人でもわかる完全マニュアル
日本で働く外国人にとって、確定申告は避けて通れない重要な手続きです。しかし、日本語の書類を正確に記入し提出するのは、多くの外国人にとって大きなハードルとなっています。この記事では、確定申告書の基本的な構成から記入方法、提出のやり方まで、ステップごとにわかりやすく解説します。国税庁の外国人向けマニュアルも参考にしながら、初めての方でも迷わず申告できるようサポートします。
確定申告とは?外国人が申告すべきケース
確定申告(かくていしんこく)とは、1月1日から12月31日までの1年間に得た所得を計算し、納めるべき税額を確定させて税務署に申告する手続きです。会社員の場合は年末調整で税金の精算が終わるため原則不要ですが、以下のケースでは確定申告が必要になります。
確定申告が必要な外国人の主なケース:
- 2か所以上の勤務先から給与を受けている
- 副業やフリーランスの収入がある
- 年収2,000万円を超えている
- 医療費控除やふるさと納税の控除を受けたい
- 年の途中で退職し年末調整を受けていない
- 海外からの送金や収入がある(永住者の場合)
確定申告をすることで、払い過ぎた税金が還付されるケースも多くあります。特に医療費が多かった年や、年の途中で退職した場合は、還付申告で数万円が戻ることもあるので確認しておきましょう。詳しくは日本の税金・確定申告完全ガイドも併せてご覧ください。
確定申告書の種類と基本構成
確定申告書にはいくつかの種類がありますが、最も一般的なのが確定申告書(第一表・第二表)です。2024年からは申告書AとBの区別がなくなり、統一様式となりました。
確定申告書 第一表の構成
確定申告書第一表は大きく5つのセクションに分かれています。
| セクション | 記入内容 | ポイント |
|---|---|---|
| 収入金額等 | 給与・事業・不動産など各種収入の金額 | 源泉徴収票の「支払金額」を転記 |
| 所得金額等 | 収入から必要経費を差し引いた金額 | 給与所得控除は自動計算 |
| 所得から差し引かれる金額 | 社会保険料・生命保険料・扶養控除など | 控除証明書を確認して記入 |
| 税金の計算 | 課税所得に税率をかけて税額を算出 | 住宅ローン控除もここで適用 |
| その他 | 還付される税金の受取口座など | 銀行口座情報を正確に記入 |
第一表は税金計算の本体部分であり、記入ミスが多い箇所でもあります。特に外国人の場合、漢字の氏名・住所の表記に注意が必要です。
確定申告書 第二表の構成
第二表は第一表の補足資料で、所得の内訳や控除の詳細を記入します。源泉徴収票に記載された支払者の情報や、各種控除の内訳をここに書きます。第一表と第二表は必ずセットで提出する必要があります。
確定申告書の記入手順【ステップバイステップ】
実際に確定申告書を記入する手順を、順番に解説します。確定申告書の書き方について詳しくはfreeeの解説ページも参考になります。
ステップ1:必要書類を準備する
まず、以下の書類を手元に揃えましょう。
- 源泉徴収票(勤務先から年末に受け取る)
- マイナンバーカードまたは通知カード
- 各種控除証明書(生命保険料控除、地震保険料控除など)
- 医療費の領収書(医療費控除を申請する場合)
- 銀行口座情報(還付金の受取用)
- 印鑑(認印でOK。電子申告の場合は不要)
外国人の場合、在留カードの番号やパスポートの情報が求められることもあります。国外の親族に対する扶養控除を申請する際は、「親族関係書類」と「送金関係書類」の提出も必要です。書類の書き方全般については各種申請書の正しい書き方ガイドも参考にしてください。
ステップ2:収入金額を記入する
源泉徴収票を見ながら、第一表の「収入金額等」欄に金額を転記します。
- 給与収入:源泉徴収票の「支払金額」の数字をそのまま記入
- 事業収入:年間の売上合計を記入(フリーランスの場合)
- 雑所得:副業の収入などを記入
複数の勤務先がある場合は、すべての源泉徴収票の金額を合計して記入します。
ステップ3:所得金額を計算する
収入金額から必要経費や給与所得控除を差し引いた金額が「所得金額」です。
- 給与所得の場合:国税庁の速算表に基づき自動的に給与所得控除額が決まる
- 事業所得の場合:収入 − 必要経費 = 事業所得
ステップ4:各種控除を記入する
外国人でも利用できる主な所得控除は以下の通りです。居住者(永住者・非永住者)であれば15種類すべての所得控除を受けられます。
| 控除の種類 | 控除額の目安 | 必要書類 |
|---|---|---|
| 基礎控除 | 最大48万円 | 不要(自動適用) |
| 社会保険料控除 | 支払額全額 | 控除証明書 |
| 生命保険料控除 | 最大12万円 | 控除証明書 |
| 医療費控除 | 医療費−10万円 | 医療費明細書 |
| 配偶者控除 | 最大38万円 | 配偶者の所得証明 |
| 扶養控除 | 38〜63万円 | 親族関係書類・送金関係書類(国外親族) |
| ふるさと納税 | 寄附額−2,000円 | 寄附金受領証明書 |
ステップ5:税額を計算し記入する
所得金額から控除額を差し引いた課税所得に、所得税の税率をかけて税額を計算します。さらに源泉徴収で既に納付済みの金額を差し引いて、最終的な納付額(または還付額)を算出します。
e-Taxを使ったオンライン申告のやり方
近年、最も便利で推奨されている申告方法がe-Tax(電子申告)です。自宅からパソコンやスマートフォンで申告書の作成・送信ができます。
e-Tax利用に必要なもの
- マイナンバーカード(ICチップ付き)
- スマートフォン(ICカードリーダーの代わりにNFC機能で読み取り可能)
- 利用者識別番号(初回登録時に取得)
政府広報オンラインの解説によると、マイナポータル連携を使えば源泉徴収票や医療費・ふるさと納税の控除証明書データを一括取得し、申告書に自動入力できます。Androidスマートフォンではマイナンバーカードの読み取り不要で申告できる機能も利用可能です。
e-Taxでの申告手順
- 国税庁の確定申告書等作成コーナーにアクセス
- マイナンバーカードでログイン
- 画面の案内に従って収入・控除の情報を入力
- 自動計算された税額を確認
- 電子署名して送信
- 受付完了通知を保存
e-Taxの最大のメリットは、計算ミスが起きにくいことと、24時間いつでも申告できることです。また、弥生の解説ページでも詳しい手順が紹介されています。
紙での申告:税務署への提出方法
e-Taxを使わない場合は、紙の申告書を税務署に提出します。
提出方法は3つ
- 税務署の窓口に直接持参:受付印をもらえるため安心。混雑する2月〜3月は待ち時間が長くなることも
- 郵送で提出:信書として郵便局から送付。控えに受付印が欲しい場合は返信用封筒を同封
- 税務署の時間外収受箱に投函:24時間対応だが受付印は後日
提出先の確認方法
提出先は、申告時点の住所地を管轄する税務署です。自分の管轄税務署は国税庁のウェブサイトで検索できます。引っ越した場合は、引っ越し後の住所を管轄する税務署に提出します。
確定申告の期限と注意点
申告期間
確定申告の期間は毎年2月16日〜3月15日です。この期間内に申告書を提出し、納税がある場合は期限までに納付する必要があります。
還付申告は5年間可能
税金が還付される場合の還付申告は、翌年の1月1日から5年間提出可能です。確定申告の期間を過ぎても申請できるため、過去に申告し忘れた医療費控除なども遡って申請できます。
期限を過ぎた場合のペナルティ
| ペナルティの種類 | 内容 | 加算率 |
|---|---|---|
| 無申告加算税 | 期限後に申告した場合 | 納税額の5〜20% |
| 延滞税 | 納付期限を過ぎた場合 | 年2.4〜14.6%(年度により変動) |
| 重加算税 | 悪質な脱税の場合 | 35〜40% |
期限内に申告できない場合は、とりあえず期限までに概算で申告し、後から修正申告を行うことも可能です。申告が遅れそうな場合は、早めに税務署に相談しましょう。
外国人が確定申告で困ったときの相談先
確定申告で困った場合は、以下のサポートを利用できます。
- 税務署の相談窓口:確定申告期間中は特設会場が設置される。一部の税務署では英語対応可能
- 多言語対応の無料税務相談:各自治体の国際交流協会が実施する多言語での税務相談会
- 税理士への依頼:複雑な申告の場合は税理士に依頼する方法も。税理士による外国人向けガイドも参考に
- 国税庁の多言語マニュアル:英語・中国語・ベトナム語・ポルトガル語・ネパール語で作成された外国人向け入力マニュアルが利用可能
- 確定申告ソフト:マネーフォワードやfreeeなどのクラウド会計ソフトは、画面の指示に従うだけで申告書が作成できる
役所での手続きに不安がある方は、役所の窓口で使える基本フレーズ集を事前にチェックしておくと安心です。また、印鑑が必要な場合は印鑑証明と実印登録の方法ガイドも確認しておきましょう。
まとめ:確定申告は準備が大切
確定申告は、必要書類を揃えて手順通りに進めれば、外国人でも十分に対応できる手続きです。特にe-Taxを活用すれば、自宅から日本語のガイドに沿って簡単に申告できます。
確定申告のポイントまとめ:
- 源泉徴収票と各種控除証明書を早めに準備する
- 記入に迷ったら国税庁の多言語マニュアルを活用する
- e-Taxならマイナンバーカードとスマホで自宅から申告可能
- 還付申告は5年間遡って申請できる
- 困ったら税務署の相談窓口や多言語サポートを利用する
申告の期限は毎年3月15日です。余裕をもって準備を始めましょう。日本の各種書類手続き全般については日本語での手続き・書類ナビゲーションガイドも参考にしてください。住民票など関連する書類の取得方法は住民票・戸籍の仕組みと取得方法ガイドで解説しています。
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