日本の薬局の使い方と処方箋の受け取り方

日本の薬局の種類(調剤薬局・ドラッグストア)の違い、処方箋薬の受け取り方の手順、お薬手帳の活用法、ジェネリック医薬品で薬代を節約する方法、市販薬の購入ルールと分類まで、日本に住む外国人が知っておくべき薬局利用の完全ガイドです。英語対応や多言語サポートの情報も紹介します。
日本の薬局の使い方と処方箋の受け取り方
日本に住む外国人にとって、薬局の利用は避けて通れない日常の一部です。風邪を引いたとき、慢性的な持病の薬が必要なとき、あるいは急な体調不良に見舞われたとき——薬局の正しい使い方を知っておくことで、スムーズに必要な薬を入手できます。日本の薬局システムは他国とは異なる独自のルールがあり、処方箋の有効期限やお薬手帳の活用法など、事前に理解しておくべきポイントが数多くあります。
この記事では、日本の健康保険・医療制度を利用しながら、薬局で処方箋薬を受け取る方法から市販薬の購入方法まで、外国人が知っておくべき情報を詳しく解説します。
日本の薬局の種類と違い
日本には主に3種類の薬を購入できる場所があります。それぞれの特徴を理解して、状況に応じた使い分けをしましょう。
| 種類 | 特徴 | 処方箋対応 | 営業時間 | 価格帯 |
|---|---|---|---|---|
| 調剤薬局 | 処方箋薬の調剤が専門 | ◎ | 病院に合わせた時間帯 | 保険適用で安い |
| ドラッグストア(調剤併設型) | 市販薬+処方箋対応 | ○ | 朝9時〜夜10時頃 | 市販薬はポイント還元あり |
| ドラッグストア(一般型) | 市販薬・日用品のみ | × | 朝9時〜夜10時頃 | セール品が多い |
調剤薬局は、病院やクリニックの近くに多く、処方箋に基づいた薬の調剤を専門としています。薬剤師が常駐しており、薬の飲み合わせや副作用について詳しい説明を受けることができます。
ドラッグストアには、調剤コーナーを併設している店舗と、市販薬のみを扱う店舗があります。近年はマツモトキヨシ、ウエルシア、ツルハドラッグなど大手チェーンが調剤併設型を増やしており、「処方箋受付」の看板がある店舗であれば処方箋薬も受け取れます。
処方箋をもらうまでの流れ
日本で処方箋薬を入手するには、まず病院やクリニックを受診する必要があります。海外と異なり、日本では医師の診察なしに処方箋薬を直接薬局で購入することはできません。
診察から処方箋受け取りまでの手順
- 病院・クリニックを受診する — 英語対応の病院を探すと安心です
- 医師の診察を受ける — 症状を伝え、必要な検査・治療を受けます
- 処方箋を受け取る — 会計時に処方箋(院外処方箋)が発行されます
- 薬局に処方箋を持参する — 好きな保険薬局で薬を受け取ります
重要な注意点:処方箋には有効期限があります。 発行日を含めて4日以内に薬局に持っていく必要があり、この期間には土日祝日も含まれます。期限切れの処方箋は無効となり、再度病院を受診して新しい処方箋を発行してもらう必要があります。
薬局での処方箋薬の受け取り方
処方箋を持って薬局に行ったら、以下の手順で薬を受け取ります。
必要な持ち物
薬局での手順
① 受付で処方箋を提出する — カウンターで処方箋と保険証を渡します。初めて利用する薬局では、問診票(アレルギー歴、服用中の薬など)への記入を求められることがあります。
② 調剤を待つ — 薬剤師が処方箋に基づいて薬を調剤します。混雑状況にもよりますが、通常10〜30分程度かかります。待ち時間が長い場合は、一度外出して後で取りに来ることも可能です。
③ 薬剤師から説明を受ける — 薬の名前を呼ばれたら、カウンターで薬剤師から薬の用法・用量、副作用、注意点について説明を受けます。日本語が不安な場合は、翻訳アプリを活用するか、事前に「英語で説明してほしい」と伝えましょう。
④ 会計・支払い — 健康保険証がある場合、薬代は通常3割負担です。保険証がない場合は全額自己負担となるため、必ず持参しましょう。
処方箋はどこの薬局でも使える
意外と知られていませんが、処方箋は全国どこの保険薬局でも使えます。病院の目の前にある「門前薬局」に行く必要はなく、自宅近くの薬局や、通勤途中のドラッグストアの調剤コーナーでも受け付けてもらえます。かかりつけ薬局を決めておくと、薬の飲み合わせチェックなど継続的なケアを受けやすくなります。
お薬手帳の活用と重要性
お薬手帳(おくすりてちょう)は、処方された薬の記録を残す手帳です。薬局で無料でもらえるほか、スマートフォンのアプリ版もあります。
お薬手帳を持つメリット
- 薬の飲み合わせチェック — 複数の病院にかかっている場合、薬の相互作用を確認できます
- アレルギー・副作用の記録 — 過去に副作用が出た薬の情報を薬剤師と共有できます
- 災害時・緊急時の備え — 救急車を呼ぶような緊急時に、服用中の薬を正確に伝えられます
- 管理料の割引 — お薬手帳を持参すると、薬局の管理料が安くなる場合があります
お薬手帳は紙の手帳だけでなく、「お薬手帳プラス」「EPARKお薬手帳」「ヘルスケア手帳」などのスマートフォンアプリでも管理できます。アプリならば、服薬リマインダーや処方履歴の検索機能も使えて便利です。
ジェネリック医薬品で薬代を節約する
ジェネリック医薬品(後発医薬品)とは、先発医薬品(新薬)の特許期間が切れた後に発売される、同じ有効成分を含む薬のことです。効果は先発品と同等ですが、価格は先発品の3〜7割程度と大幅に安くなります。
現在、日本のジェネリック医薬品の使用割合は全国平均で約82.75%と高水準にあり、政府は2029年度末までに全都道府県で80%以上を目標としています(厚生労働省データ参照)。
ジェネリック医薬品への変更方法
薬局で処方箋を出す際に「ジェネリックに変更できますか?」と薬剤師に伝えるだけでOKです。処方箋に「変更不可」と記載されていなければ、基本的にジェネリック医薬品に変更できます。
| 項目 | 先発医薬品 | ジェネリック医薬品 |
|---|---|---|
| 有効成分 | オリジナル | 同一成分 |
| 効果・安全性 | 実績豊富 | 同等(国の審査済み) |
| 価格 | 高い | 先発品の3〜7割 |
| 見た目・添加物 | — | 異なる場合あり |
毎月定期的に薬を服用している方は、ジェネリック医薬品に切り替えることで年間数千円〜数万円の節約が可能です。
市販薬(OTC医薬品)の購入方法
処方箋が不要な市販薬(OTC医薬品)は、薬局やドラッグストアで直接購入できます。ただし、市販薬にもリスク分類があり、購入時に注意が必要です。
| 分類 | リスク | 購入条件 | 代表的な薬 |
|---|---|---|---|
| 要指導医薬品 | 最も高い | 薬剤師の対面販売のみ | スイッチOTC直後の薬 |
| 第1類医薬品 | 高い | 薬剤師から書面での説明必須 | ロキソニンS、ガスター10 |
| 第2類医薬品 | 中程度 | 薬剤師or登録販売者が対応 | バファリン、パブロン |
| 第3類医薬品 | 低い | 特別な説明不要 | ビタミン剤、目薬 |
風邪薬や頭痛薬など基本的な市販薬は、ドラッグストアで気軽に購入できます。ただし、日本語のパッケージが読めない場合は、薬剤師や登録販売者に症状を伝えて適切な薬を選んでもらいましょう。
外国人が薬局で困らないためのポイント
日本語に自信がない外国人でも、以下のポイントを押さえておけば薬局をスムーズに利用できます。
言語サポートの活用
- 大阪府の多言語対応マニュアル — 英語・中国語・韓国語・スペイン語・ポルトガル語・タイ語・ベトナム語・フランス語の9言語に対応した薬局外国人対応マニュアルが公開されています
- 翻訳アプリの活用 — Google翻訳やDeepLを使って、症状や薬名を薬剤師に伝えましょう
- 指さし会話シート — 多くの薬局が外国人対応のための指さしコミュニケーションシートを用意しています
母国の薬との対応表を作っておく
日本の薬は名前が母国と異なることがほとんどです。渡航前に、普段服用している薬の一般名(成分名)を英語でメモしておくと、日本の薬剤師に伝えやすくなります。例えば、アセトアミノフェン(acetaminophen)は日本では「カロナール」、イブプロフェン(ibuprofen)は「イブ」「ブルフェン」などの名前で販売されています。
外国の処方箋は日本では使えない
重要:海外で発行された処方箋は日本の薬局では使用できません。 日本で処方薬が必要な場合は、日本の医師の診察を受けて日本の処方箋を発行してもらう必要があります。持病がある方は、渡航前に英文の診断書や薬剤情報を準備し、来日後に病院を受診して日本の処方箋を取得してください。
また、日本への医薬品の持ち込みにも制限があります。処方薬は1ヶ月分まで、市販薬は2ヶ月分まで持ち込み可能です。それ以上の量が必要な場合は、厚生労働省の地方厚生局から輸入確認証(Yunyu Kakunin-sho)を事前に取得する必要があります(厚生労働省の公式ガイドを参照)。
薬局選びのポイントとかかりつけ薬局
処方箋は全国どこの保険薬局でも使えますが、「かかりつけ薬局」を1つ決めておくことをおすすめします。
かかりつけ薬局を持つメリット
- 一元的な薬の管理 — 複数の病院で処方された薬をまとめて管理してもらえます
- 薬の飲み合わせの確認 — 危険な組み合わせを事前にチェックしてもらえます
- 24時間対応の相談 — かかりつけ薬剤師がいる場合、夜間や休日も電話相談が可能な場合があります
- 残薬の調整 — 薬が余っている場合、処方量の調整を医師に提案してもらえます
薬局を選ぶ際は、自宅や職場の近くで通いやすい場所、営業時間が自分のライフスタイルに合っている薬局を選びましょう。ドラッグストアの調剤併設型であれば、日用品の買い物ついでに薬を受け取ることもできます。
オンライン診療と薬の受け取り
最近はオンライン診療を利用して、自宅から医師の診察を受けることも可能です。オンライン診療後の薬の受け取り方には以下の選択肢があります。
- 薬局で受け取る — 処方箋が電子的に薬局に送付され、薬局に受け取りに行きます
- 自宅への配送 — 一部の薬局では、調剤した薬を自宅まで配送してくれるサービスもあります
オンライン診療は、日本語でのコミュニケーションが不安な方でも、翻訳ツールを使いながらゆっくり対応できるメリットがあります。健康診断の結果をもとに定期的なフォローアップを受ける場合にも便利です。
まとめ
日本の薬局システムは、処方箋薬と市販薬が明確に分かれており、処方箋薬の入手には医師の診察が必須です。処方箋の有効期限(4日間)を守り、健康保険証とお薬手帳を持参して薬局を訪れましょう。ジェネリック医薬品を活用すれば薬代を大幅に節約でき、かかりつけ薬局を持つことで安全で継続的な薬の管理が可能になります。
外国人の方は、母国の薬の成分名を英語でメモしておくこと、海外の処方箋は日本では無効であること、そして日本の医療保険制度に加入しておくことが重要です。困ったときは翻訳アプリや多言語対応マニュアルを活用し、安心して薬局を利用してください。
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