外国人が日本の病院にかかる方法と流れ

外国人が日本の病院を受診する際の具体的な流れを徹底解説します。受付方法、必要書類の準備、言語の壁の乗り越え方、健康保険の仕組み、緊急時の対応方法まで、日本に住む外国人に必要な医療情報をすべてカバーした完全ガイドです。初めての病院でも安心して受診できるようサポートします。
外国人が日本の病院にかかる方法と流れ
日本に住む外国人にとって、病気やケガをしたときに病院へ行くのは不安なことです。言葉の壁や独特な医療制度、受診の流れがわからないなど、多くのハードルがあります。しかし、日本の医療レベルは世界的にも高く、適切な知識と準備があればスムーズに受診できます。この記事では、外国人が日本の病院にかかる際の具体的な手順や注意点を、受付から会計まで詳しく解説します。
日本の医療機関の種類と選び方
日本の医療機関は大きく分けてクリニック(診療所)と病院の2種類があります。外国人の方がまず理解しておくべきなのは、症状に応じた適切な医療機関の選び方です。
| 医療機関の種類 | 特徴 | 適している症状 | 外国語対応 | 費用目安(保険あり) |
|---|---|---|---|---|
| クリニック(診療所) | ベッド数19床以下の小規模施設 | 風邪、軽いケガ、慢性疾患 | 少ない | 1,000〜3,000円 |
| 総合病院 | 複数の診療科がある大規模施設 | 重い症状、専門的な検査 | 多い | 3,000〜10,000円 |
| 大学病院 | 高度な医療を提供 | 難しい病気、手術 | 多い | 5,000〜15,000円 |
| 救急病院 | 24時間対応 | 緊急時のケガや急病 | 一部対応 | 症状による |
日本では「かかりつけ医」という制度があり、まずは近所のクリニックを受診し、必要に応じて大きな病院への紹介状を書いてもらうのが一般的な流れです。紹介状なしで大病院を受診すると、選定療養費として5,000〜7,000円が追加でかかることがあります。
外国人患者を受け入れている医療機関は、厚生労働省の外国人患者受入れ医療機関リストで検索できます。また、JMIP(外国人患者受入れ医療機関認証制度)の認証を受けた病院は、多言語対応や文化的配慮が整っています。
受診前に準備すべきもの
病院に行く前に、以下のものを準備しておくとスムーズです。
必ず持っていくもの:
- 健康保険証(国民健康保険証または社会保険証)
- 在留カードまたはパスポート(身分証明のため)
- お薬手帳(持っている場合)
- 現金(小規模クリニックではクレジットカードが使えないことが多い)
あると便利なもの:
- 症状メモ(日本語で書いておくと診察がスムーズ)
- 翻訳アプリ(Google翻訳やDeepLなど)
- 紹介状(他の病院からの場合)
- 海外旅行保険証(短期滞在者の場合)
特に重要なのは健康保険証です。日本の健康保険制度では、3ヶ月以上日本に滞在する外国人は国民健康保険または社会保険への加入が義務付けられています。保険に加入していれば医療費の自己負担は30%で済みます。保険がない場合は全額自己負担となり、診察だけで2万〜5万円かかることもあります。
病院での受付から診察までの流れ
日本の病院での受診は、以下のステップで進みます。
ステップ1:受付(うけつけ)
病院に到着したら、まず受付窓口に行きます。初めて受診する場合は「初診(しょしん)です」と伝えましょう。受付で以下の手続きを行います:
- 保険証と身分証の提示
- 問診票(もんしんひょう)の記入 — 症状や既往歴を記入する用紙
- 診察券(しんさつけん)の発行 — 次回以降に使うカード
問診票は日本語で書かれていることが多いですが、大きな病院では英語や中国語の問診票が用意されていることもあります。わからない場合は受付のスタッフに聞きましょう。多言語の問診票は日本政府観光局のウェブサイトからもダウンロードできます。
ステップ2:待合室で待つ
受付が終わったら、指定された待合室で名前が呼ばれるまで待ちます。日本の病院は予約制のところが増えていますが、予約なしでも受診できるクリニックも多くあります。ただし、予約なしの場合は1〜2時間以上待つこともあります。
ステップ3:診察
名前が呼ばれたら診察室に入ります。医師に症状を伝え、診察を受けます。日本語が不安な方は、以下の方法で対処できます:
- 事前に症状を日本語でメモしておく
- 翻訳アプリを使う
- 医療通訳サービスを利用する(24時間365日対応、17言語に対応)
- 日本語が話せる友人に同行してもらう
ステップ4:検査・処置
必要に応じて血液検査、レントゲン、CTスキャンなどの検査を受けます。検査の内容と費用については、事前に医師に確認しましょう。
ステップ5:会計と薬の受け取り
診察が終わったら、会計窓口で支払いを行います。日本では院外処方が一般的で、処方箋をもらって近くの薬局(調剤薬局)で薬を受け取ります。薬局でも保険証の提示が必要です。
言語の壁を乗り越えるための対策
外国人が日本の病院で直面する最大の課題は言語の壁です。外国人患者対応における「3つの壁」として、言語の壁、文化の壁、制度の壁が知られています。
医療通訳サービスの活用:
- JNTO多言語コールセンター(ジャパン・ビジター・ホットライン):365日24時間対応、英語・中国語・韓国語に対応
- AMDA国際医療情報センター:電話での医療相談や通訳サービスを提供
- 病院内の医療通訳:JMIP認証病院では多言語対応スタッフが常駐
便利なアプリとツール:
- Google翻訳:カメラ翻訳で問診票を読める
- VoiceTra:総務省開発の多言語音声翻訳アプリ
- 多言語問診票:JNTOが18言語で提供
診察時に使える基本的な日本語フレーズも覚えておくと便利です。「ここが痛いです」(ここがいたいです)、「熱があります」(ねつがあります)、「アレルギーがあります」(アレルギーがあります)など、簡単な表現だけでも診察がスムーズになります。
健康保険と医療費の仕組み
日本の健康保険制度は、外国人にとっても重要な制度です。
| 項目 | 国民健康保険(NHI) | 社会保険(会社員) | 海外旅行保険 |
|---|---|---|---|
| 対象者 | 自営業・フリーランス | 会社員・公務員 | 短期滞在の旅行者 |
| 自己負担率 | 30% | 30% | 保険会社による |
| 保険料 | 前年の所得に基づく | 給与から天引き | 渡航前に加入 |
| カバー範囲 | 診察・入院・処方薬 | 診察・入院・処方薬 | 契約内容による |
| 高額療養費制度 | 利用可能 | 利用可能 | なし |
3ヶ月以上日本に滞在する外国人は健康保険への加入が義務です。90日以内の短期滞在者は国民健康保険に加入できないため、渡航前に海外旅行保険に加入しておくことが強く推奨されます。
高額療養費制度も外国人に適用されます。1ヶ月の医療費が一定額を超えた場合、超過分が払い戻される制度です。例えば、一般的な所得の場合、月の自己負担上限は約8万円です。この制度を知らない外国人は多いですが、日本の税金・社会保障制度と合わせて理解しておくと安心です。
緊急時の対応方法
急な病気やケガで緊急を要する場合の対応方法を知っておくことは非常に重要です。
救急車を呼ぶ場合:
- 119番に電話する(消防・救急共通)
- 「救急です」(きゅうきゅうです)と伝える
- 住所と症状を伝える
- 救急車は無料(日本では救急車の利用は無料です)
注意点:
- 救急車で搬送される病院は自分では選べない
- 搬送先で受け入れを断られる場合もある(たらい回し問題)
- 意識がある場合は、保険証と在留カードを持っていく
救急車を呼ぶほどではないが夜間・休日の場合:
- #7119(救急相談センター)に電話して相談
- 夜間・休日診療所を利用する
- JNTO緊急連絡先ガイドで最寄りの対応医療機関を検索
日本の防災・緊急時対応ガイドも合わせて確認しておくと、緊急時に慌てずに対応できます。
歯科・眼科・産婦人科など専門科への受診
外国人が日本で受診する機会が多い専門科について、それぞれの特徴を紹介します。
歯科(しか):
- 健康保険が適用される治療と自費治療がある
- 美容目的の歯列矯正やホワイトニングは保険適用外
- 予約制が基本
眼科(がんか):
- コンタクトレンズの処方箋発行が必要
- 健康保険でカバーされる
産婦人科(さんふじんか):
- 妊婦健診は基本的に保険適用外だが、自治体の助成制度がある
- 出産費用は約40〜50万円だが、出産育児一時金(50万円)で大部分がカバーされる
- 日本での子育て・教育に関する情報も事前に確認を
精神科・心療内科:
- 外国人のメンタルヘルスのケアに対応する医療機関が増えている
- 英語対応のカウンセラーも存在する
- 健康保険が適用される
よくある質問(FAQ)
Q:日本語が全くできなくても病院に行けますか? A:はい、可能です。外国人患者受入れ認証医療機関を選べば多言語対応があります。また、医療通訳サービスも利用できます。
Q:保険証がない場合はどうすれば良いですか? A:全額自己負担になりますが、受診は可能です。ただし、日本の健康保険制度への加入を早急に行いましょう。
Q:薬は病院でもらえますか? A:日本では院外処方が一般的です。処方箋を持って薬局(調剤薬局)で受け取ります。ドラッグストアで買える市販薬もあります。
Q:クレジットカードは使えますか? A:大きな病院では使えることが多いですが、小さなクリニックでは現金のみの場合があります。事前に確認しましょう。
Q:セカンドオピニオンは受けられますか? A:はい、日本でもセカンドオピニオンを求めることは一般的になっています。ただし、保険適用外で5,000〜30,000円程度かかります。
まとめ
外国人が日本の病院にかかる際は、保険証の準備、適切な医療機関の選択、言語対策の3つが重要です。日本の医療は世界トップレベルの質を誇り、適切な準備さえしておけば安心して受診できます。まずは近所のかかりつけ医を見つけ、健康保険に確実に加入しておくことから始めましょう。緊急時は迷わず119番に電話してください。日本の救急車は無料です。
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