災害時の多言語情報の入手方法

日本で暮らす外国人が災害時に多言語で情報を入手する方法を徹底解説。Safety tips・NHK WORLD-JAPANなどの防災アプリ、多言語ホットライン、公的機関の情報サイト、災害多言語支援センターの活用法まで網羅的に紹介します。
災害時の多言語情報の入手方法|外国人が知っておくべき情報源まとめ
日本は地震・台風・豪雨など自然災害が多い国です。災害が発生した際、日本語が十分に理解できない外国人にとって、正確な情報をいかに素早く入手するかは命に関わる問題です。
しかし近年、日本政府や自治体は外国人向けの多言語災害情報の整備を急速に進めており、スマートフォンアプリ、ウェブサイト、電話ホットラインなど、さまざまなチャネルで情報を得ることが可能になっています。本記事では、外国人が災害時に活用できる多言語情報源を網羅的に紹介します。
日本で利用できる主な多言語防災アプリ
災害時にもっとも手軽に情報を受け取れるのがスマートフォンアプリです。日本には外国人向けに開発された優れた防災アプリがいくつかあります。
Safety tips(セーフティティップス)
観光庁が提供する外国人旅行者向け防災アプリ「Safety tips」は、15言語に対応しており、緊急地震速報・津波警報・気象特別警報・噴火速報などをプッシュ通知で受け取ることができます。避難場所の検索機能やコミュニケーションカード機能も搭載されており、日本語が話せない場合でも周囲の人に自分の状況を伝えることが可能です。
NHK WORLD-JAPAN アプリ
NHK WORLD-JAPANアプリは、19言語に対応した国際放送アプリです。地震速報・津波警報・気象特別警報などをプッシュ通知で配信します。対応言語にはアラビア語、インドネシア語、ウルドゥー語、英語、スペイン語、スワヒリ語、タイ語、中国語、韓国語、ミャンマー語、ヒンディー語、フランス語、ベトナム語、ペルシャ語、ベンガル語、ポルトガル語、ロシア語などが含まれます。リアルタイムの災害マップ機能もあり、震源地や津波到達予想エリアを地図上で確認できます。
東京防災アプリ
東京都が提供する「東京防災」アプリは、日本語・英語・中国語・韓国語の4言語に対応しています。災害への事前準備から発災時の対処法まで包括的な情報が収録されており、東京に住む外国人には特におすすめです。
主要な多言語防災アプリの比較
災害時にどのアプリを使うべきか迷ったときのために、主要なアプリを比較表にまとめました。
| アプリ名 | 対応言語数 | 主な機能 | 対象ユーザー | 料金 |
|---|---|---|---|---|
| Safety tips | 15言語 | 緊急地震速報、津波警報、避難場所検索 | 訪日外国人・在住外国人 | 無料 |
| NHK WORLD-JAPAN | 19言語 | ニュース速報、災害マップ、プッシュ通知 | 全外国人 | 無料 |
| 東京防災 | 4言語 | 防災マニュアル、避難場所、チェックリスト | 東京在住者 | 無料 |
| Yahoo!防災速報 | 日本語中心 | 地震・豪雨・避難情報、ピンポイント通知 | 日本語話者 | 無料 |
| ゆれくるコール | 日本語・英語 | 緊急地震速報、震度予測 | 地震情報特化 | 無料 |
これらのアプリは事前にインストールしておくことが重要です。災害発生後はインターネット回線が不安定になり、アプリのダウンロードが困難になることがあるためです。日本の携帯電話・インターネットの契約をしていれば、Wi-Fi環境がなくてもモバイル回線で情報を受信できます。
公的機関の多言語情報サイト
アプリと合わせて知っておきたいのが、政府機関や自治体が運営する多言語防災情報サイトです。
内閣府「防災情報のページ」
内閣府の防災情報ページでは、外国人向けの防災説明資料が15言語で公開されています。地震・台風・津波などの災害別に、やさしい日本語と多言語QRコード付きの資料が用意されており、災害の種類ごとにどう行動すべきかがわかりやすく説明されています。
出入国在留管理庁「外国人生活支援ポータルサイト」
外国人生活支援ポータルサイトは、在留外国人の日常生活に必要な情報を多言語で提供するサイトです。防災関連だけでなく、ビザや在留資格、医療制度、税金など幅広い生活情報にアクセスできます。
CLAIR(自治体国際化協会)多言語支援ツール
CLAIRの災害時多言語支援ページでは、「防災・減災のための多言語支援の手引き2023」をはじめ、避難所で使える多言語表示シートや、災害時によく使うフレーズの翻訳集などの実用的なツールが無料で公開されています。自治体職員やボランティア向けの資料ですが、外国人自身が読んでも参考になります。
Japan Safety Hub
Japan Safety Hubは、外国人居住者と訪日旅行者向けの多言語安全情報ポータルサイトです。緊急時のリソースや災害情報を集約しており、英語での情報収集に便利です。
電話で相談できる多言語ホットライン
災害時にインターネット接続が不安定な場合でも、電話であれば情報を得られることがあります。
JNTO(日本政府観光局)ホットライン
日本政府観光局が運営する24時間対応のホットライン 050-3816-2787 は、英語・中国語・韓国語・日本語の4言語で対応しています。災害時の緊急相談だけでなく、平時の旅行相談にも利用できます。
119番の多言語対応
救急・消防の119番通報は、全国726の消防本部のうち641で多言語対応が導入されています。英語・中国語・韓国語・ポルトガル語・スペイン語・タイ語・ベトナム語などに対応しており、通訳オペレーターを介して会話することが可能です。日本の防災・緊急時対応の基本も事前に確認しておくと安心です。
各自治体の外国人相談窓口
多くの自治体では外国人向けの相談窓口を設置しています。例えば東京都の「東京都多文化共生ポータルサイト」や、各県の国際交流協会が運営する相談ダイヤルなどがあります。平時から最寄りの相談窓口の電話番号をメモしておくことをおすすめします。
災害多言語支援センターの役割と活用法
大規模災害が発生した際には、被災地の自治体と国際交流協会が連携して「災害多言語支援センター」を設置することがあります。
センターの主な活動内容
災害多言語支援センターでは以下のような支援が行われます。
- 行政機関が発信する避難情報・支援情報の多言語翻訳と配信
- 避難所を巡回して外国人被災者の状況を把握・支援
- 外国人からの電話やSNSでの相談対応
- 通訳ボランティアの派遣・コーディネート
利用する際のポイント
災害多言語支援センターの連絡先は各自治体のウェブサイトに掲載されています。しかし、大規模災害時はアクセスが集中してつながりにくくなることもあります。事前に自分の住む地域の国際交流協会や外国人コミュニティとつながりを作っておくと、いざという時に情報を得やすくなります。
やさしい日本語(Plain Japanese)を活用する
「やさしい日本語」とは、外国人にもわかりやすいよう、簡単な語彙と文法で書き直された日本語のことです。災害時には、多言語翻訳が間に合わない場合でも、やさしい日本語で情報が発信されることが増えています。
やさしい日本語の特徴
- 漢字にはふりがなが振られている
- 一文が短く、主語と述語が明確
- 専門用語を避け、日常的な言葉で表現
- 「避難してください」→「にげてください」のように言い換え
日本語学習を始めたばかりの方でも、やさしい日本語であれば基本的な災害情報を理解できる可能性があります。NHKのニュースサイトにも「NEWS WEB EASY」というやさしい日本語版があり、日頃からやさしい日本語に慣れておくことが防災にもつながります。
SNS・メディアでの多言語災害情報の入手
災害時にはSNSも重要な情報源になります。ただし、デマや誤情報も拡散されやすいため、情報の確認が重要です。
信頼できるSNSアカウント
- NHK WORLD-JAPAN(Twitter/X、Facebook):多言語でニュース速報を配信
- 各自治体の公式SNS:地域に特化した避難情報を発信
- 在日大使館・領事館のSNS:母国語での情報提供や安否確認
情報を確認するためのコツ
災害時のSNS利用では以下の点に注意しましょう。
- 公式アカウント(認証マーク付き)からの情報を優先する
- 複数の情報源で内容を確認する
- 古い情報が拡散されていないか投稿日時をチェックする
- 不確かな情報をシェアしない
事前準備チェックリスト|今すぐできること
災害はいつ起こるかわかりません。以下のチェックリストを参考に、今のうちから準備しておきましょう。
- [ ] Safety tipsとNHK WORLD-JAPANアプリをインストールする
- [ ] アプリの通知設定をオンにして言語を選択する
- [ ] 最寄りの避難場所を確認し、地図アプリにブックマークする
- [ ] JNTOホットライン(050-3816-2787)を電話帳に登録する
- [ ] 最寄りの国際交流協会・外国人相談窓口の連絡先をメモする
- [ ] 在日大使館・領事館の緊急連絡先を確認する
- [ ] 家族や友人と災害時の連絡方法・集合場所を決めておく
- [ ] 防災グッズ・非常持ち出し袋を準備する
まとめ|多言語情報を知っていれば命を守れる
日本で暮らす外国人にとって、災害時の多言語情報は文字通りライフラインです。Safety tipsやNHK WORLD-JAPANといったアプリは無料でインストールでき、15〜19言語に対応しています。また、内閣府やCLAIRなどの公的機関のサイトも充実しており、事前に確認しておけば災害時に焦ることなく情報を得られます。
大切なのは、災害が起きてから情報源を探すのではなく、平時から準備しておくことです。アプリのインストール、電話番号の登録、避難場所の確認など、今日できることから始めましょう。日本は災害が多い国ですが、準備さえしていれば安全に暮らせる国でもあります。
参考リンク:
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