ペットを連れて日本から帰国する手続き

日本からペットを連れて帰国する際の手続きを完全解説。マイクロチップ装着、狂犬病ワクチン接種、動物検疫所での輸出検査、航空輸送の方法と費用の目安まで、外国人がペットと安全に帰国するためのステップを詳しくご紹介します。
ペットを連れて日本から帰国する手続き|完全ガイド
日本での生活を終えて母国に帰国する際、大切な家族であるペットを一緒に連れて帰りたいと考える外国人は少なくありません。しかし、ペットの国際輸送には複雑な検疫手続きや書類準備が必要で、最短でも準備に数ヶ月かかるケースがほとんどです。この記事では、日本からペットを連れて出国するための手続きを、ステップごとに詳しく解説します。事前にしっかり準備して、ペットと一緒に安全に帰国しましょう。
帰国準備のタイムラインと全体の流れ
ペットを連れて日本から出国するには、計画的な準備が不可欠です。特に渡航先の国によって必要な手続きが異なるため、帰国予定日の6〜8ヶ月前から準備を始めることをおすすめします。
全体の流れは以下の通りです:
- 渡航先の入国条件を確認(6〜8ヶ月前)
- マイクロチップの装着(6ヶ月前)
- 狂犬病ワクチン接種(1回目・2回目)(6〜5ヶ月前)
- 狂犬病抗体価検査の実施(5ヶ月前)
- 待機期間の経過(180日間)
- 航空会社の予約とケージ準備(2〜3ヶ月前)
- 輸出前検査と輸出検疫証明書の取得(出発10日前〜当日)
- 出国
| 準備項目 | 時期の目安 | 所要期間 | 推定費用 |
|---|---|---|---|
| 渡航先の入国条件確認 | 6〜8ヶ月前 | 1〜2週間 | 無料 |
| マイクロチップ装着 | 6ヶ月前 | 当日 | 約4,000〜6,000円 |
| 狂犬病ワクチン1回目 | 6ヶ月前 | 当日 | 約3,000〜5,000円 |
| 狂犬病ワクチン2回目 | 5ヶ月前 | 当日 | 約3,000〜5,000円 |
| 狂犬病抗体価検査 | 5ヶ月前 | 2〜3週間(結果待ち) | 約13,000円 |
| 180日待機期間 | 5ヶ月前〜 | 約6ヶ月 | ─ |
| 航空会社の予約 | 2〜3ヶ月前 | 1日 | 航空会社による |
| 輸出前検査・証明書 | 出発10日前 | 1〜3日 | 無料〜数千円 |
準備を怠ると、渡航先の空港で入国拒否される可能性もあるため、余裕を持ったスケジュールで進めましょう。詳しいペットとの引越し手続きについては関連記事もご覧ください。
渡航先の入国条件を確認する
日本からペットを連れ出す際にまず行うべきことは、渡航先の国のペット入国条件を確認することです。国によって求められる要件は大きく異なります。
主要な国・地域の条件の違い
渡航先によって以下のような違いがあります:
- アメリカ:2024年8月以降、CDC(疾病対策予防センター)の新しい規制により、犬の輸入にはCDC Dog Import Formの事前提出が必須になりました
- EU諸国:EU共通のペットパスポート制度があり、狂犬病ワクチン接種と抗体価検査が必要です
- イギリス:ペットトラベルスキーム(PETS)に基づき、マイクロチップ・狂犬病ワクチン・血液検査が必要です
- オーストラリア・ニュージーランド:最も厳しい検疫があり、入国後の隔離期間(最大30日)が必要です
- 東南アジア諸国:比較的緩やかですが、国ごとに異なるため個別に確認が必要です
渡航先の大使館または動物検疫機関に直接問い合わせるのが最も確実です。農林水産省の動物検疫所ウェブサイトでも各国の条件をある程度確認できます。
必要書類のチェックリスト
多くの国で共通して求められる書類は以下の通りです:
- 輸出検疫証明書(動物検疫所が発行)
- 狂犬病ワクチン接種証明書
- マイクロチップ装着証明書
- 狂犬病抗体価検査結果通知書
- 健康診断書(獣医師発行)
- 渡航先国固有の申請書類
マイクロチップと狂犬病ワクチンの手続き
マイクロチップの装着
ペットの国際輸送では、ISO 11784/11785規格のマイクロチップの装着が世界的に必須とされています。日本国内でペットを飼っている場合、すでにマイクロチップが装着されていることも多いですが、規格が適合しているか必ず確認してください。
マイクロチップの装着は動物病院で行えます。費用は約4,000〜6,000円で、装着後は証明書を発行してもらいましょう。なお、マイクロチップは狂犬病ワクチン接種前に装着する必要があります。装着後にワクチンを打たないと、接種記録とマイクロチップの番号が紐付けられず、無効となる場合があるためです。
犬の登録手続きと狂犬病予防注射の記事でも、日本国内での登録手続きについて詳しく解説しています。
狂犬病ワクチン接種
ペットの国際輸送で最も重要なのが狂犬病ワクチンの接種です。以下の条件を満たす必要があります:
- ワクチンの種類:不活化ワクチンまたは遺伝子組換えワクチンのみ有効(生ワクチンは認められていません)
- 接種回数:最低2回の接種が必要
- 1回目の接種:生後91日目以降に実施
- 2回目の接種:1回目から30日以上かつ1年以内に実施
- 費用:1回あたり約3,000〜5,000円
狂犬病抗体価検査
2回目のワクチン接種後、狂犬病の抗体価検査を受ける必要があります。この検査は農林水産大臣が指定する検査施設で実施します。検査結果が0.5 IU/ml以上であれば合格です。
検査費用は約13,000円で、結果が出るまでに2〜3週間かかります。また、多くの国では抗体価検査の結果から180日間の待機期間が求められます。この待機期間中に日本を出国しても、渡航先の空港で180日が経過するまで隔離される可能性があるため注意が必要です。
動物検疫所での輸出検査と証明書の取得
日本からペットを連れ出すには、出発前に動物検疫所で輸出検査を受け、輸出検疫証明書の交付を受ける必要があります。これは法律で義務付けられています。
輸出検査の申請方法
- 申請のタイミング:検査希望日の10日前までに申請
- 申請方法:NACCS(動物検疫関連業務)を通じてオンラインで申請
- 検査場所:出国する空港・港の動物検疫所
必要な書類
輸出検査時に持参する書類は以下の通りです:
- 輸出検査申請書
- マイクロチップ装着証明書
- 狂犬病予防注射済証(2回分)
- 狂犬病抗体価検査結果通知書
- 渡航先国が求める追加書類
検査の内容
動物検疫所では、ペットの健康状態の確認と狂犬病およびレプトスピラ症(犬の場合)の検査が行われます。問題がなければ、輸出検疫証明書(Health Certificate)が交付されます。
この証明書は英語で発行されますが、渡航先によってはさらに大使館での認証(エンドースメント)が必要な場合があります。事前に渡航先の要件を確認しておきましょう。U.S. Embassy(米国大使館)のペット輸出情報も参考になります。
航空会社での手続きとペット輸送の方法
輸送方法の種類
ペットの航空輸送には主に3つの方法があります:
| 輸送方法 | 説明 | 対応航空会社 | 費用の目安 |
|---|---|---|---|
| 機内持ち込み(キャビン) | 小型犬・猫を座席下のケージで | 一部の外資系航空会社 | 約10,000〜30,000円 |
| 受託手荷物(カーゴ) | 貨物室に預ける | JAL、ANA、多数の航空会社 | 約30,000〜70,000円 |
| 航空貨物(カーゴ専用便) | ペットのみ貨物として輸送 | ANA Cargo、JAL Cargoなど | 約80,000〜200,000円 |
注意点:JALとANAは国際線でのペットの機内持ち込みに対応していません。ペットは受託手荷物として貨物室に預ける形になります。機内持ち込みを希望する場合は、対応している外資系航空会社を選びましょう。
IATAケージの規格
国際航空輸送では、IATA(国際航空運送協会)の基準を満たすケージが必要です。主な要件:
- ペットが立ち上がり、回転し、横になれるサイズ
- 十分な換気口がある
- 漏れ防止の底トレイがある
- 頑丈なロック機構がある
- 水・餌容器が取り付けられる
航空輸送の注意点
- 短頭種(パグ、ブルドッグ、フレンチブルドッグ等)は呼吸器系の問題から、多くの航空会社で受託を拒否されます
- 夏季(気温30℃超)は貨物室の温度管理が困難なため、ペットの受託が停止される場合があります
- 出発の2〜3ヶ月前までに航空会社に連絡し、予約を確保してください
- ANA Cargoの動物輸送ページで最新の規定を確認できます
費用の総額と節約のポイント
ペットを日本から連れ出す際の費用は、渡航先や輸送方法によって大きく異なりますが、1匹あたり10万〜50万円が目安です。
費用の内訳
| 項目 | 費用の目安 |
|---|---|
| マイクロチップ装着 | 約4,000〜6,000円 |
| 狂犬病ワクチン(2回) | 約6,000〜10,000円 |
| 狂犬病抗体価検査 | 約13,000円 |
| 健康診断書 | 約3,000〜5,000円 |
| IATAケージ購入 | 約10,000〜30,000円 |
| 航空輸送費 | 約30,000〜200,000円 |
| 手続き代行費用(利用する場合) | 約50,000〜150,000円 |
| 合計 | 約76,000〜414,000円 |
節約のポイント
- 手続き代行業者を使わない:自分で手続きを行えば5〜15万円節約できます
- ケージを中古で購入する:帰国する外国人コミュニティでIATAケージの譲渡が行われることがあります
- 航空会社の受託手荷物を利用:貨物便より安くなることが多いです
- 引越し業者のペット輸送パック:日本通運(NX)のペット輸送サービスなど、引越しとペット輸送をセットにすると割安になる場合があります
ペット保険のおすすめプランに加入している場合は、輸送中のトラブルがカバーされるか確認しておきましょう。
猫・うさぎ・小動物の場合の注意点
犬と猫は基本的に同じ検疫手続きが必要ですが、うさぎ、フェレット、ハムスター、鳥類などの小動物は手続きが異なります。
猫の場合
犬とほぼ同じ手続きですが、以下の点が異なります:
- レプトスピラ症の検査は不要
- マイクロチップと狂犬病ワクチンの要件は犬と同じ
うさぎ・小動物の場合
- 日本からの輸出には動物検疫所での検査が必要な場合があります
- 渡航先の国によっては輸入禁止の場合もあるため、必ず事前確認してください
- 航空会社によって受け入れ可能な動物種が異なります
鳥類の場合
- 家禽(にわとり等)は鳥インフルエンザの検疫があり、手続きが複雑です
- インコ・オウムは比較的シンプルですが、渡航先の規制を確認してください
爬虫類・エキゾチックアニマルの場合
- ワシントン条約(CITES)に該当する種の場合、輸出許可証が必要です
- 航空輸送に対応していない動物種も多いため、専門の輸送業者に相談してください
よくあるトラブルと対処法
トラブル1:書類の不備で出国できない
原因:マイクロチップ番号の記載ミス、ワクチン接種証明書の有効期限切れなど 対処法:出発の1ヶ月前に全書類を動物検疫所に事前確認してもらうことをおすすめします
トラブル2:航空会社にペットの搭乗を拒否された
原因:短頭種の制限、天候(高温)による停止、ケージの規格不適合 対処法:複数の航空会社を事前に確認し、代替便を用意しておきましょう
トラブル3:渡航先の空港で隔離された
原因:180日の待機期間が未経過、抗体価検査の結果が基準以下 対処法:出発前に待機期間のカウントが正しいか再確認してください
トラブル4:ペットが輸送中に体調を崩した
原因:長時間のフライトによるストレス、気温変化 対処法:かかりつけの動物病院で事前に健康チェックを受け、獣医師に輸送に適した状態か確認してもらいましょう
帰国前に日本でやっておくべきこと
日本を離れる前に、ペット関連で以下の手続きを済ませておきましょう:
- 犬の登録抹消:市区町村の役所で犬の登録を抹消する手届けを行います
- ペット保険の解約:加入しているペット保険の解約手続きを行いましょう
- かかりつけ動物病院への連絡:診療記録のコピーをもらっておくと、渡航先での治療に役立ちます
- ペットフードの確保:慣れたペットフードを渡航先で入手できるか確認し、必要に応じて数週間分持参しましょう
- 不要品の整理:ペット用品で持っていかないものは、外国人コミュニティで譲渡するのもおすすめです
帰国全体の準備については、日本を離れる前の完全チェックリストと帰国準備・退出手続きガイドも合わせてご確認ください。
まとめ:安全にペットと帰国するために
ペットを連れて日本から帰国するには、時間と費用がかかりますが、大切な家族を一緒に連れて帰るためには避けて通れない手続きです。
成功のための3つのポイントをまとめます:
- 早めの準備開始:最低6ヶ月前から計画を立てましょう
- 渡航先の条件を正確に確認:大使館や検疫機関に直接問い合わせるのが最も確実です
- 書類を完璧に揃える:動物検疫所での事前確認を活用しましょう
不安な場合は、ペット輸送の専門代行業者やリダックくらぶなどの情報サイトも活用してください。しっかり準備すれば、ペットと一緒に安心して新しい生活をスタートできます。
海外からペットを日本に連れてくる方法やペット・車の海外輸送手続きガイドも参考になります。
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