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日本の税金・確定申告完全ガイド

外国人が使える税金控除の一覧と活用法

ブイ レ クアンブイ レ クアン公開日:2026年3月2日
外国人が使える税金控除の一覧と活用法

日本で暮らす外国人が利用できる15種類の所得控除を一覧で解説。海外扶養親族の控除申請方法、外国税額控除の仕組み、ふるさと納税やiDeCoの節税テクニックまで、確定申告で損をしないための完全ガイドです。

外国人が使える税金控除の一覧と活用法

日本で暮らす外国人にとって、税金の負担は大きな関心事です。しかし、正しく控除を活用すれば、支払う税金を合法的に減らすことができます。実は、居住者として認められた外国人は、日本人と同じ15種類の所得控除をすべて受けることが可能です。本記事では、外国人が利用できる税金控除を一覧にまとめ、それぞれの要件や活用法をわかりやすく解説します。

日本の税金・確定申告の全体像をまだ把握していない方は、まず基本をおさえてから本記事を読むとより理解が深まります。

居住者・非居住者で異なる控除の適用範囲

税金控除を理解するうえで最も重要なのが、居住者と非居住者の区分です。この区分によって、受けられる控除の種類が大きく変わります。

居住者とは、日本国内に住所がある、または1年以上居住している人を指します。居住者はさらに「永住者」と「非永住者」に分かれますが、いずれも所得控除はすべて適用されます。一方、非居住者は雑損控除、寄附金控除、基礎控除など限定的な控除しか受けられません。

区分定義控除の範囲課税所得の範囲
永住者日本に住所あり+5年以上居住or永住意思あり全15種類国内+国外所得すべて
非永住者居住者のうち永住者以外全15種類国内所得+国外から送金された所得
非居住者日本に住所なし+1年未満の滞在限定的(雑損・寄附金・基礎控除等)国内源泉所得のみ

在留資格の種類によっても税務上の取り扱いが変わる場合があります。詳しくはビザ・在留資格の全体ガイドを参照してください。

所得控除15種類の一覧と外国人が注意すべきポイント

居住者である外国人が利用できる所得控除は以下の15種類です。それぞれの控除額と申請時の注意点をまとめます。

人的控除(本人・家族に関する控除)

控除名控除額(2024年)外国人向け注意点
基礎控除最大48万円所得2,500万円以下で適用。全員対象
配偶者控除最大38万円海外在住の配偶者も対象だが送金証明が必要
配偶者特別控除最大38万円配偶者の所得が48万円超133万円以下の場合
扶養控除38万円~63万円海外の親族も対象。16歳以上が条件
障害者控除27万円~75万円海外で認定された障害者手帳等の翻訳が必要
寡婦控除27万円離婚・死別した女性が対象
ひとり親控除35万円性別問わず、ひとり親であれば適用
勤労学生控除27万円留学生で一定の所得以下の場合に適用

物的控除(支出に関する控除)

控除名控除額外国人向け注意点
社会保険料控除支払額全額国民健康保険・厚生年金など全額控除
生命保険料控除最大12万円海外保険会社の保険料は対象外
地震保険料控除最大5万円日本国内の住居に対する保険のみ
小規模企業共済等掛金控除支払額全額iDeCoの掛金が含まれる
医療費控除超過分(10万円超)海外で支払った医療費も対象
雑損控除損失額に応じて災害・盗難による損失が対象
寄附金控除寄附額-2,000円ふるさと納税も含まれる

年金・社会保障制度との関連も把握しておくと、社会保険料控除を最大限活用できます。

海外扶養親族の控除を申請する方法

外国人にとって最もメリットが大きいのが、海外に住む家族を扶養親族として申請する方法です。母国に仕送りをしている場合、その家族を扶養控除の対象にできる可能性があります。

申請に必要な書類

海外扶養親族の控除を受けるには、以下の書類が必要です。

  1. 親族関係書類:戸籍謄本、出生証明書、婚姻証明書など(外国語の場合は日本語翻訳が必要)
  2. 送金関係書類:銀行の送金明細書、クレジットカードの利用明細書など
  3. 38万円以上の送金証明:2023年以降、16歳以上30歳未満・70歳以上の海外親族について、年間38万円以上の送金が必要

注意すべきルール変更(2023年~)

2023年の税制改正により、30歳以上70歳未満の海外親族は、以下のいずれかに該当しない限り扶養控除の対象外となりました。

  • 留学のため国外に居住している
  • 障害者である
  • 年間38万円以上の送金を受けている

この改正は外国人労働者に大きな影響を与えるため、必ず最新の要件を確認してください。詳しくは国税庁の公式サイトで確認できます。

外国税額控除で二重課税を防ぐ方法

海外に投資や資産がある外国人にとって重要なのが外国税額控除です。日本は80カ国以上と租税条約を締結しており、二重課税を防止する仕組みが整っています。

外国税額控除の仕組み

外国税額控除とは、海外で既に課税された所得に対して、日本で再度課税される「二重課税」を回避するための制度です。例えば、アメリカの株式配当で10%の源泉徴収がされた場合、その分を日本の所得税から差し引くことができます。

適用条件

  • 日本の居住者であること
  • 外国で所得税に相当する税金を支払っていること
  • 確定申告で「外国税額控除に関する明細書」を提出すること

控除限度額の計算

控除限度額は以下の計算式で求められます。

控除限度額 = その年の所得税額 × (その年の国外所得総額 ÷ その年の所得総額)

限度額を超えた分は、翌年以降3年間繰り越すことが可能です。資産形成・ライフプランニングを考える際にも、外国税額控除の活用は欠かせません。

詳しい計算方法はマネーフォワードの解説記事PwCの外国税額控除ガイドが参考になります。

確定申告で控除を受ける手順

控除を受けるには、原則として確定申告が必要です。会社員の場合は年末調整で一部の控除は処理されますが、医療費控除や外国税額控除などは確定申告でしか申請できません。

確定申告が必要なケース

  • 年収が2,000万円を超える場合
  • 2か所以上から給与を受けている場合
  • 医療費控除や外国税額控除を申請する場合
  • 副業の所得が20万円を超える場合
  • 年の途中で出国・帰国した場合

申告の手順

  1. 必要書類の準備:源泉徴収票、保険料の控除証明書、医療費の領収書、送金証明書など
  2. 確定申告書の作成:国税庁の確定申告書等作成コーナーを利用(英語対応なし)
  3. 申告書の提出:税務署への持参、郵送、またはe-Tax(マイナンバーカードが必要)
  4. 提出期限:毎年2月16日~3月15日

日本語での手続きに不安がある方は、日本語書類ナビゲーションガイドも合わせて確認してください。

フリーランス・リモートワークの方は、経費の計上や青色申告控除(最大65万円)も活用できるため、確定申告は特に重要です。

住民税の控除と外国人が知っておくべきこと

所得税だけでなく、住民税にも控除が適用されます。1月1日時点で日本に住所がある外国人は、住民税の納付義務があります。

住民税の計算方法

住民税は均等割(約5,000円)と所得割(課税所得の10%)の合計で、前年の所得をもとに計算されます。所得控除は所得税とほぼ同じですが、控除額が若干異なります。

控除名所得税の控除額住民税の控除額
基礎控除48万円43万円
配偶者控除38万円33万円
扶養控除(一般)38万円33万円
生命保険料控除最大12万円最大7万円

出国時の住民税

日本を離れる場合、1月1日時点で日本に住所がなければその年の住民税は課税されません。ただし、前年分の住民税の未払い分がある場合は納付が必要です。出国前に納税管理人を選任しておくことをおすすめします。

帰国準備については帰国準備・退出手続きガイドで詳しく解説しています。

住民税について詳しくはMailMateの住民税ガイドも参考になります。

控除を最大限活用するための実践テクニック

税金控除を最大限に活用するためのテクニックをまとめます。

ふるさと納税の活用

ふるさと納税は、実質2,000円の自己負担で地域の返礼品がもらえる制度です。外国人も利用可能で、住民税の控除として大きな効果があります。ワンストップ特例制度を利用すれば、確定申告なしで控除を受けられます(給与所得者で寄付先が5自治体以下の場合)。

iDeCo(個人型確定拠出年金)の活用

iDeCoの掛金は全額が小規模企業共済等掛金控除として所得控除の対象になります。月額5,000円から始められ、節税しながら老後の資産を積み立てられます。

銀行口座・金融サービスガイドでiDeCoの口座開設方法も確認できます。

医療費控除の見落としに注意

医療費控除は年間10万円を超えた分が対象ですが、海外で支払った医療費も含められる点を見落としがちです。一時帰国中に受けた治療費なども対象になるため、領収書は必ず保管しておきましょう。

セルフメディケーション税制

通常の医療費控除との選択制ですが、市販薬(スイッチOTC医薬品)の購入費用が年間12,000円を超えた場合、最大88,000円まで控除できる制度もあります。医療費が10万円に届かない場合は、こちらの方がお得な場合があります。

まとめ:外国人が税金控除で損をしないために

日本で暮らす外国人が利用できる税金控除は、居住者であれば日本人とまったく同じ15種類です。特に海外扶養親族の控除外国税額控除ふるさと納税は外国人ならではの活用ポイントです。

控除を正しく活用するために、以下のポイントを押さえましょう。

  • 居住者区分を確認する:非居住者は控除が大幅に制限される
  • 海外扶養親族の要件変更に注意:2023年以降のルール変更を把握する
  • 送金証明書を保管する:海外送金の記録は控除申請に必須
  • 確定申告の期限を守る:毎年2月16日~3月15日
  • 専門家に相談する:複雑なケースは税理士に依頼するのが安心

税金の仕組みは毎年変わる可能性があるため、最新情報は国税庁の公式サイト出入国在留管理庁の外国人生活支援ポータルで確認することをおすすめします。

日本の税金・確定申告完全ガイドに戻って、税金に関する他のトピックも確認してみてください。

ブイ レ クアン
ブイ レ クアン

ベトナム出身、来日16年以上。名古屋大学卒業後、日本企業・外資系企業で11年の実務経験。外国人の日本生活情報を発信。

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