在留カードの返納方法と出国手続き

在留カードの返納方法を徹底解説。空港での出国審査時の返納手順、郵送での返納方法、再入国許可との関係、返納を忘れた場合の罰則やリスクまで、外国人が知っておくべき情報を網羅的にまとめました。企業担当者向けの対応ガイドも掲載。
在留カードの返納方法と出国手続き|外国人が知っておくべき全知識
日本での在留期間を終えて帰国する際、忘れてはならないのが在留カードの返納です。在留カードは日本に中長期滞在する外国人にとって最も重要な身分証明書ですが、日本を離れるときには適切に返納する義務があります。返納を怠ると20万円以下の罰金が科せられる可能性があるため、正しい手続きを理解しておくことが不可欠です。
この記事では、在留カードの返納が必要になるケース、空港での返納手続き、郵送による返納方法、さらに再入国許可との関係まで、帰国準備に必要な情報を網羅的に解説します。
在留カードの返納が必要になるケースとは?
在留カードの返納が義務となるのは、カードが失効したときです。具体的には以下のケースが該当します。
| 返納が必要なケース | 詳細 | 返納期限 |
|---|---|---|
| 日本から出国するとき | 再入国許可なしで出国する場合 | 出国時(空港で返納) |
| 在留期間が満了したとき | 更新せずに期間が切れた場合 | 失効日から14日以内 |
| 在留資格が取り消されたとき | 入管法による取り消し処分 | 失効日から14日以内 |
| 日本国籍を取得(帰化)したとき | 帰化申請が許可された場合 | 帰化日から14日以内 |
| 再入国許可の有効期間内に再入国しなかったとき | 出国後に期限切れとなった場合 | 失効日から14日以内 |
| 死亡したとき | 同居の親族等が返納 | 死亡日から14日以内 |
特に注意が必要なのは、再入国許可を取得せずに出国する場合です。この場合、出国と同時に在留資格そのものが失効するため、空港の出国審査で必ず在留カードを返納する必要があります。ビザの取り消しやオーバーステイのリスクを避けるためにも、自分の状況を正確に把握しましょう。
空港での在留カード返納手続き(最も一般的な方法)
日本を完全に離れる場合、最もスムーズな返納方法は空港の出国審査時に直接返納することです。
空港での返納の流れ
- チェックイン・手荷物預け — 在留カードは預け荷物に入れず、必ず手元に携帯しておく
- 出国審査ゲートに進む — パスポートと在留カードを審査官に提示
- 審査官に返納の意思を伝える — 「在留カードを返納します」と伝えるだけでOK
- カードに穴が開けられる — 審査官がパンチで穴を開けて無効化処理
- 希望すれば記念に受け取れる — 穴が開いた状態のカードを記念品として返してもらえる
この手続きは非常にシンプルで、追加の書類は不要です。出国審査のついでに完了するため、特別な時間もかかりません。
自動化ゲート利用時の注意点
最近の空港では自動化ゲート(顔認証ゲート)の利用が増えていますが、在留カードの返納が必要な場合は有人の審査カウンターを利用してください。自動化ゲートでは在留カードの返納手続きができないため、通過後に係員を探す手間が発生する可能性があります。
主要空港の返納対応
| 空港名 | 返納窓口 | 備考 |
|---|---|---|
| 成田国際空港 | 出国審査カウンター | 第1・第2・第3ターミナルすべて対応 |
| 羽田空港(国際線) | 出国審査カウンター | 第3ターミナル |
| 関西国際空港 | 出国審査カウンター | 第1・第2ターミナル対応 |
| 中部国際空港(セントレア) | 出国審査カウンター | 第1ターミナル |
| 福岡空港 | 出国審査カウンター | 国際線ターミナル |
| 新千歳空港 | 出国審査カウンター | 国際線ターミナル |
出国審査では、パスポートやビザの基本知識を事前に確認しておくとスムーズです。
郵送による在留カードの返納方法
空港で返納し忘れた場合や、すでに日本を出国してしまった場合でも、郵送での返納が可能です。
郵送返納の手順
送付先:
〒135-0064
東京都江東区青海2-7-11
東京港湾合同庁舎9階
東京出入国在留管理局おだいば分室同封するもの:
- 在留カード原本 — 失効したカードそのもの
- 返納理由書 — 出入国在留管理庁のウェブサイトからダウンロード可能(参考書式「在留カード等の返納について」)
- 返納理由を証する書類 — 出国日がわかるパスポートのコピー、航空券の控え等
郵送時の注意点
- 期限は失効日から14日以内(海外からの郵送の場合も同様)
- 書留や追跡可能な方法で送ることを推奨(紛失防止のため)
- 海外から郵送する場合は、国際郵便(EMS等)が確実
- 郵便サービスの利用方法も参考にしてください
- 返納理由書の参考書式は出入国在留管理庁の公式サイトで入手できます
地方出入国在留管理局への直接持参
日本国内にまだ滞在している場合は、最寄りの地方出入国在留管理局に直接持参して返納することも可能です。これは以下のようなケースで有効です。
- 帰化が認められて日本国籍を取得した場合
- 在留資格の変更により旧カードを返納する場合
- 在留期間満了後もまだ日本にいる場合(出国準備期間中など)
再入国許可・みなし再入国許可と在留カードの関係
在留カードの返納を考えるうえで、再入国許可制度の理解は欠かせません。
みなし再入国許可(特別再入国許可)
2012年の入管法改正により、有効な在留カードを持つ外国人は、出国後1年以内(在留期間が1年未満の場合はその期限まで)に再入国する場合、事前の再入国許可申請が不要となりました。
みなし再入国許可の条件:
- 有効なパスポートを所持していること
- 有効な在留カードを所持していること
- 出国後1年以内に再入国すること
- 出国時に再入国出国記録(EDカード)に「みなし再入国許可による出国」にチェックを入れること
この場合、在留カードは返納せず、そのまま保持します。
通常の再入国許可
1年を超えて日本を離れる予定がある場合は、出国前に地方出入国在留管理局で再入国許可(最長5年間有効)を申請する必要があります。手数料は1回限りの許可で3,000円、数次許可で6,000円です。
再入国許可と返納の判断フロー
| 状況 | 在留カードの扱い | 在留資格 |
|---|---|---|
| みなし再入国許可で出国(1年以内に戻る) | 保持する(返納不要) | 維持される |
| 通常の再入国許可で出国 | 保持する(返納不要) | 維持される |
| 再入国許可なしで出国(完全帰国) | 返納が必要 | 失効する |
| 再入国許可の期間内に戻らなかった | 郵送で返納 | 失効する |
日本での引越しや退去手続きと合わせて、自分の出国パターンに応じた正しい対応を確認しましょう。
在留カード返納を忘れた場合の罰則とリスク
在留カードの返納を怠ると、以下のようなペナルティやリスクがあります。
法的罰則
- 20万円以下の罰金(入管法第71条の3)
- 返納期限(失効日から14日以内)を過ぎると処罰対象となる可能性
将来的なリスク
返納義務を果たさないことは、将来的に以下のような不利益につながる可能性があります。
- 短期滞在ビザ申請への悪影響 — 観光等で再来日する際の審査が厳しくなる
- 就労ビザ等の在留資格申請への悪影響 — 再度日本で働く際のビザ申請で不利になる
- 入国審査での追加質問 — 未返納の記録が残り、再入国時にトラブルになる可能性
- 不法残留の疑い — 最悪の場合、カードの不正使用を疑われるリスク
ビザの法的リスクについても理解しておくことが重要です。
返納し忘れた場合の対処法
すでに日本を出国してから返納し忘れに気づいた場合は、速やかに郵送で返納してください。14日を過ぎていても、できるだけ早く返納することで、将来的な不利益を最小限に抑えられます。
また、在留カードを紛失して返納できない場合は、紛失届を出す必要があります。最寄りの警察署に届け出るか、出入国在留管理庁に連絡して指示を仰いでください。
企業・雇用主が知っておくべき外国人社員退職時の手続き
外国人を雇用している企業にとっても、退職する社員の在留カード返納は重要な事項です。
企業側の責任と対応
外国人が日本で仕事をする際の雇用管理として、企業には以下の対応が求められます。
- 退職日と帰国日の把握 — フライトの予約状況を確認
- 在留カード返納の説明 — 空港で必ず返納するよう本人に伝達
- ハローワークへの届出 — 外国人雇用状況の届出を離職日の翌日から10日以内に提出
- 社会保険の資格喪失手続き — 年金や社会保障の脱退手続き
- 住民登録の転出届 — 市区町村役場での手続きを案内
- 脱退一時金の案内 — 年金の脱退一時金制度について情報提供
企業が提供すべきチェックリスト
外国人社員の帰国がスムーズに進むよう、以下のチェックリストを共有すると効果的です。
- [ ] 在留カードを手荷物に準備(預け荷物に入れない)
- [ ] 空港の有人カウンターで出国審査を受ける
- [ ] 審査時に在留カードを返納する
- [ ] 記念に穴開きカードを受け取りたい場合は申し出る
- [ ] 転出届の提出を確認
- [ ] 国民健康保険の脱退手続きを確認
- [ ] 銀行口座の解約または残高処理
帰国前に済ませておくべき関連手続き一覧
在留カードの返納以外にも、日本を離れる前に済ませるべき手続きは数多くあります。帰国準備の完全ガイドと合わせて確認してください。
行政手続き
| 手続き | 届出先 | 期限・備考 |
|---|---|---|
| 転出届の提出 | 市区町村役場 | 出国14日前から届出可能 |
| 国民健康保険の脱退 | 市区町村役場 | 転出届と同時に処理可能 |
| 国民年金の脱退 | 年金事務所 | 脱退一時金の請求は帰国後 |
| マイナンバーカードの返納 | 市区町村役場 | 転出届時に返納 |
| 国際運転免許証の処理 | — | 日本の免許は帰国後も有効期間内は使用可 |
生活関連の手続き
- 賃貸契約の解約と退去手続き
- 電気・ガス・水道の解約
- 携帯電話・インターネットの解約
- 銀行口座の解約または残高処理
- クレジットカードの解約
- 郵便物の転送届
税金関連
- 確定申告が必要な場合は出国前に済ませる
- 住民税の精算(出国年の1月1日時点で住民登録がある場合)
- 納税管理人の届出(帰国後に税金の支払いが残る場合)
よくある質問(FAQ)
Q: 在留カードは空港で返し忘れても大丈夫ですか? A: 14日以内に郵送で返納すれば罰則の対象にはなりにくいですが、できる限り空港で返納するのがベストです。出入国在留管理庁の公式ページで最新情報を確認してください。
Q: 記念に在留カードを持ち帰ることはできますか? A: はい、可能です。出国審査時に「カードを記念に持ち帰りたい」と伝えれば、穴を開けて無効化した状態で返してもらえます。
Q: みなし再入国許可で出国する場合、在留カードはどうなりますか? A: 返納は不要です。1年以内(在留期間が1年未満の場合はその期限まで)に再入国する予定であれば、在留カードはそのまま保持してください。
Q: 在留カードを紛失した場合、返納できないのですが? A: まず最寄りの警察署に遺失届を提出してください。その後、出入国在留管理局に連絡し、紛失の経緯を説明して指示を仰いでください。法律トラブルへの対処法も参考になります。
Q: 帰化して日本国籍を取得した場合も返納が必要ですか? A: はい、必要です。帰化許可日から14日以内に、最寄りの出入国在留管理局に返納してください。
Q: 会社が在留カードを預かっている場合はどうなりますか? A: 企業が外国人の在留カードを預かることは違法です(入管法第23条第3項)。退職時には必ず本人にカードを返却し、本人が適切に返納できるようにしてください。
まとめ:確実な返納で将来のトラブルを防ごう
在留カードの返納は、日本での滞在を締めくくる重要な手続きです。主なポイントを整理すると以下の通りです。
- 完全帰国の場合は空港の出国審査時に返納するのが最もシンプル
- 返し忘れた場合は14日以内に東京出入国在留管理局おだいば分室に郵送返納
- 再入国許可がある場合は返納不要でカードを保持
- 返納を怠ると20万円以下の罰金のリスクがあり、将来のビザ申請にも悪影響
- 企業側も退職する外国人社員への説明責任がある
帰国前の準備を万全にするために、在留カードの基礎知識や帰国準備の完全ガイドもぜひご覧ください。正しい手続きで日本での生活を気持ちよく締めくくりましょう。
参考リンク:
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