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日本での老後・リタイアメント計画ガイド

海外在住で日本の年金を受け取る方法

ブイ レ クアンブイ レ クアン公開日:2026年3月2日
海外在住で日本の年金を受け取る方法

海外に住みながら日本の年金を受け取る方法を徹底解説。受給資格、必要書類、手続きの流れ、海外送金の仕組み、税金の扱い(租税条約の活用)、現況届の提出方法まで、海外在住者が知っておくべき年金受給の全知識をまとめています。

海外在住で日本の年金を受け取る方法|手続き・送金・税金を徹底解説

日本で長年働いて年金保険料を納めてきたけれど、今は海外に住んでいる——そんな方にとって「自分の年金はちゃんと受け取れるのか?」は大きな関心事ではないでしょうか。結論から言えば、海外に住んでいても日本の年金は受け取ることができます。ただし、国内で受給する場合とは異なる手続きや届出が必要になるため、事前の準備が欠かせません。

この記事では、海外在住者が日本の年金(老齢年金・遺族年金)を受け取るための受給資格、具体的な手続き、送金方法、税金の扱い、注意点までを網羅的に解説します。これから海外移住を考えている方や、すでに海外在住で年金受給年齢が近づいている方はぜひ参考にしてください。

関連記事:日本の年金・社会保障制度ガイドでは、日本の年金制度全体の仕組みを詳しく説明しています。

海外在住者の年金受給資格とは

海外に住んでいる場合でも、以下の条件を満たせば日本の年金を受給することができます。

受給資格期間(10年ルール)

日本の老齢年金を受け取るには、年金の加入期間が合計10年(120ヶ月)以上であることが原則です。この10年には以下が含まれます。

  • 国民年金の納付済期間:実際に保険料を納めた期間
  • 厚生年金の加入期間:会社員として加入していた期間
  • 免除期間:保険料の免除・猶予を受けていた期間
  • 合算対象期間(カラ期間):日本国籍を持ち海外に居住していた20歳以上60歳未満の期間

特に重要なのがカラ期間(合算対象期間)です。日本国籍を持つ方が海外に住んでいた期間は、たとえ年金保険料を払っていなくても「カラ期間」として受給資格期間に算入されます。ただし、カラ期間は受給資格期間にはカウントされますが、年金額の計算には反映されません。

社会保障協定の活用

日本は多くの国と社会保障協定を締結しています。この協定がある国に住んでいる場合、その国の年金加入期間と日本の加入期間を通算して受給資格を判断できます。

例えば、日本で7年、アメリカで5年年金に加入していた場合、合計12年となり日本の受給資格(10年)を満たします。協定締結国にはアメリカ、ドイツ、イギリス、フランス、韓国、オーストラリアなどが含まれます。

詳しくは日本の税金・確定申告完全ガイドもご確認ください。

海外で年金を受け取るための手続き方法

海外で日本の年金を受け取るには、状況に応じた届出・申請が必要です。

すでに年金を受給中に海外移住する場合

国内で年金を受給している方が海外に移住する場合、以下の届出が必要です。

  1. 住民票の転出届:市区町村の役所で海外転出届を提出
  2. 「外国居住年金受給権者 住所・受取金融機関 登録(変更)届」の提出:日本年金機構に新しい住所と受取口座を届け出る
  3. 「租税条約に関する届出書」(該当する場合):租税条約締結国に住む場合に提出
  4. 「納税管理人の届出」税務署に対し日本在住の税務代理人を届け出る

海外在住のまま新たに年金を請求する場合

海外在住で受給年齢(原則65歳)に達した場合の年金請求手続きは、以下のとおりです。

  1. 年金請求書の入手日本年金機構のウェブサイトからダウンロード、または郵送で取り寄せ
  2. 必要書類の準備:年金請求書、在留証明書(大使館・領事館で取得)、口座証明書類など
  3. 書類の提出:日本年金機構へ直接郵送
必要書類入手先備考
年金請求書日本年金機構(HP or 郵送)記入済みのものを提出
在留証明書在外日本大使館・領事館海外住所を証明する公的書類
戸籍謄本本籍地の市区町村役場家族関係の確認に必要
口座証明書類金融機関通帳のコピーまたは銀行発行の証明書
パスポートのコピー本人確認用
租税条約届出書日本年金機構(HP)租税条約締結国の居住者のみ
納税管理人届出書税務署日本在住の代理人を指定

在留届の提出を忘れずに

海外で年金を受け取る場合、在外公館(大使館・領事館)への在留届の提出が前提条件となります。在留届が未提出だと「現況届」(年1回の届出)の手続きができず、最悪の場合、年金の支払いが止まることがあります。オンラインでの在留届提出(ORRnet)も利用できるので、海外移住後は速やかに届け出ましょう。

年金の受取口座と海外送金の仕組み

海外在住者が年金を受け取る方法には、主に2つの選択肢があります。

日本国内の銀行口座で受け取る

日本国内に口座を維持している場合は、国内の金融機関口座を受取先に指定できます。手数料もかからず、為替リスクもないのがメリットです。ただし、海外から日本の口座の資金を引き出す際には、別途国際送金やデビットカードの利用が必要になります。

日本の銀行口座・金融サービス完全ガイドで海外在住者の口座維持について詳しく解説しています。

海外の金融機関口座で受け取る

海外の銀行口座を指定して直接送金を受けることも可能です。この場合の特徴は以下のとおりです。

  • 日本側の海外送金手数料は国(日本年金機構)が負担:年金から手数料が差し引かれることはありません
  • 現地の銀行で着金手数料が発生する場合がある:銀行によっては受取手数料がかかります
  • 為替レートの影響を受ける:送金日の為替レートによって受取額が変動します
  • 送金通貨は国・地域によって異なる:多くの国はUSD(米ドル)、ユーロ圏はEURで送金
受取方法メリットデメリット
日本国内の銀行口座為替リスクなし、手数料なし海外から引き出す手間がかかる
海外の銀行口座(直接送金)現地通貨で直接受取可能為替変動リスク、着金手数料の可能性
海外口座+Wise等の送金サービス併用手数料を抑えた送金が可能設定の手間、サービスの制限

海外在住者の年金にかかる税金

年金を海外で受け取る場合、税金の取り扱いが国内受給とは異なります。

原則:日本で20.42%の源泉徴収

日本の年金を海外居住者が受け取る場合、原則として20.42%の所得税が源泉徴収されます。これは「非居住者」への支払いに対する日本の税法上の取り扱いです。

租税条約の活用で免除・軽減が可能

日本が租税条約を締結している国に居住している場合、「租税条約に関する届出書」を日本年金機構に提出することで、日本での課税が免除または軽減されます。

租税条約により日本での課税が免除される主な国は以下のとおりです。

国名日本での課税備考
アメリカ免除居住国(米国)で課税
イギリス免除居住国(英国)で課税
ドイツ免除居住国で課税
フランス免除居住国で課税
オーストラリア免除居住国で課税
韓国免除居住国で課税
中国免除居住国で課税

租税条約の届出をしない場合、日本と居住国の両方で課税される「二重課税」が発生する恐れがあるため、必ず届出を行いましょう。

詳しい税金の仕組みは日本の税金・確定申告完全ガイドで解説しています。

毎年の現況届(生存確認)の提出

海外在住者が年金を継続して受け取るには、毎年1回「現況届」を提出する必要があります。

現況届とは

現況届は「年金受給者が生存しており、引き続き受給資格があることを証明する書類」です。日本国内に住んでいる場合はマイナンバーとの連携により原則不要ですが、海外在住者は毎年提出が必須です。

現況届の提出方法

  1. 日本年金機構から届いたハガキに必要事項を記入
  2. 在外公館(大使館・領事館)の認証を受けるか、公的機関の証明を添付
  3. 日本年金機構に郵送

提出期限に遅れると年金の支払いが一時停止される場合があるため、届いたら速やかに手続きしましょう。なお、現況届は「在留届」を在外公館に提出していることが前提となるため、在留届も必ず最新の状態にしておいてください。

脱退一時金(Lump-Sum Withdrawal)という選択肢

日本の年金を長期的に受け取るのではなく、出国時に一括で受け取る方法もあります。

脱退一時金の概要

脱退一時金は、日本を離れる外国人が年金保険料の一部を払い戻しとして受け取れる制度です。

  • 対象者:日本の年金に6ヶ月以上加入し、日本国籍を持たず、年金受給資格のない方
  • 請求期限:日本を出国してから2年以内
  • 支給額の上限:最大60ヶ月分(5年分)の保険料に基づく金額

脱退一時金を選ぶべきか?

脱退一時金を受け取ると、その期間の年金加入記録がリセットされます。つまり、将来日本に戻って年金を積み増す可能性がある場合や、社会保障協定による通算を検討している場合は、安易に脱退一時金を選ばない方が賢明です。

選択肢おすすめの人注意点
年金として将来受給加入期間10年以上の方、日本に戻る可能性がある方カラ期間を活用して受給資格を確保
脱退一時金加入期間が短い方、日本に戻る予定がない方加入記録がリセットされる

将来のライフプランも含めた判断が必要です。日本での資産形成・ライフプランニングガイドも合わせてご覧ください。

海外移住前にやるべき年金関連の準備

スムーズに年金を受け取るために、海外移住前に以下の準備をしておきましょう。

出国前チェックリスト

  1. 年金加入記録の確認ねんきんネットで自分の加入履歴・見込み額を確認
  2. 年金手帳・基礎年金番号の保管:海外でも必要になるため紛失しないよう保管
  3. 海外転出届の提出:市区町村の役所で手続き
  4. 任意加入の検討:海外在住でも国民年金に任意加入でき、受給額を増やせる(月額16,980円・2024年度)
  5. 在留届の提出:渡航先の在外公館に速やかに届出
  6. 納税管理人の届出:信頼できる日本在住の方を税務代理人として届け出る
  7. 銀行口座の確認:日本の口座を維持するか、海外口座で受け取るかを決定

任意加入制度で受給額アップ

海外に住む日本国籍の方(20歳以上65歳未満)は、国民年金に任意加入することができます。任意加入により保険料を納め続ければ、将来の年金受給額を増やせます。加入手続きは出国前に市区町村の役所、または海外からは日本年金機構に直接申請できます。

日本からの帰国準備・退出手続きガイドで、移住前に必要な全般的な手続きを確認できます。

よくある質問(FAQ)

Q1: 海外在住でも繰り上げ受給・繰り下げ受給はできますか?

はい、できます。老齢年金は60歳から繰り上げ受給(減額あり)、75歳まで繰り下げ受給(増額あり)が可能で、海外在住者も同様に選択できます。繰り下げの場合、1ヶ月あたり0.7%増額され、75歳まで繰り下げると最大84%の増額になります。

Q2: 遺族年金も海外で受け取れますか?

はい、遺族年金(遺族基礎年金・遺族厚生年金)も海外で受け取ることができます。受給手続きは老齢年金と同様に、日本年金機構への請求が必要です。

Q3: 海外送金にかかる日数はどのくらいですか?

通常、日本から海外への年金送金には1〜2週間程度かかります。経由する銀行(コルレス銀行)の数や国・地域によって日数が異なります。

Q4: 為替レートはいつ時点のものが適用されますか?

年金機構から送金を行った日の為替レートが適用されます。受取銀行側の換算レートが別途適用されるため、実際の受取額はさらに変動する可能性があります。

Q5: 年金受給中に日本に一時帰国しても問題ありませんか?

問題ありません。ただし、日本に長期滞在して居住実態が日本に戻った場合は、住民登録を行い、国内居住者としての届出に切り替える必要があります。

まとめ

海外在住でも日本の年金を受け取ることは十分可能です。ポイントを整理すると以下のとおりです。

  • 受給資格:加入期間10年以上(カラ期間・社会保障協定による通算を含む)
  • 受取口座:日本国内の銀行または海外の銀行口座を選択可能
  • 送金手数料:日本側の海外送金手数料は国が負担
  • 税金:原則20.42%の源泉徴収、租税条約の届出で免除・軽減が可能
  • 現況届:海外在住者は毎年提出が必須
  • 事前準備:在留届、納税管理人の届出、年金記録の確認が重要

年金は長年にわたって積み立ててきた大切な資産です。適切な手続きを行い、確実に受け取れるよう準備を進めましょう。日本での老後・リタイアメント計画ガイドでは、より広い視点でリタイアメント計画について解説していますので、ぜひ合わせてご覧ください。

ブイ レ クアン
ブイ レ クアン

ベトナム出身、来日16年以上。名古屋大学卒業後、日本企業・外資系企業で11年の実務経験。外国人の日本生活情報を発信。

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