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日本の健康保険・医療制度ガイド

予防接種と感染症対策の基礎知識

ブイ レ クアンブイ レ クアン公開日:2026年3月2日
予防接種と感染症対策の基礎知識

日本に住む外国人のための予防接種と感染症対策の完全ガイド。定期接種と任意接種の違い、主要ワクチンの種類・費用一覧、接種スケジュール、子どもの予防接種、日常の感染症予防法まで網羅的に解説します。健康保険の適用や費用の節約方法も紹介。

予防接種と感染症対策の基礎知識|日本に住む外国人が知るべきワクチン情報

日本で安心して生活を送るためには、予防接種と感染症対策の知識が欠かせません。日本の予防接種制度は海外と異なる点が多く、外国人にとって分かりにくい部分もあります。本記事では、日本で利用可能なワクチンの種類、接種スケジュール、費用、そして日常的な感染症対策について、外国人の視点から詳しく解説します。日本の健康保険・医療制度を理解した上で、予防接種についても正しい知識を身につけましょう。

日本の予防接種制度の仕組み

日本の予防接種は、大きく「定期接種」と「任意接種」の2つに分けられます。この区分は費用負担や補償制度に直接影響するため、しっかり理解しておくことが大切です。

定期接種は、予防接種法に基づいて市区町村が実施するもので、対象年齢内であれば原則無料で受けられます。日本国内に住民登録をしている外国人も対象となります。万が一、副反応による健康被害が生じた場合は、予防接種健康被害救済制度による補償を受けることができます。

任意接種は、個人の判断で受けるワクチンです。費用は自己負担となり、医療機関によって価格が異なります。ただし、任意接種であっても医学的に重要なワクチンは多くあります。海外では定期接種に含まれているワクチンが、日本では任意接種となっているケースもあり、これが「ワクチンギャップ」と呼ばれる問題です。

住民登録をしていれば、外国人も日本人と同様に定期接種を無料で受けることができます。詳しい手続きは、お住まいの市区町村の届出サービスで確認してください。

日本で接種可能な主要ワクチン一覧

日本で接種可能な主なワクチンを定期接種と任意接種に分けて紹介します。国立健康危機管理研究機構の感染症情報サイトでも最新情報を確認できます。

ワクチン名区分対象年齢(定期接種の場合)接種回数費用目安(任意の場合)
BCG(結核)定期生後1歳未満1回無料(定期)
MR(麻疹・風疹混合)定期1歳・小学校入学前2回約8,000〜12,000円
日本脳炎定期3歳〜13歳4回約5,000〜8,000円
B型肝炎定期生後2ヶ月〜1歳3回約5,000〜7,000円
水痘(みずぼうそう)定期1歳〜3歳2回約7,000〜10,000円
HPV(子宮頸がん)定期小6〜高1の女性2〜3回約15,000〜30,000円/回
ロタウイルス定期生後6〜32週2〜3回無料(定期)
インフルエンザ任意全年齢推奨1〜2回/年約3,000〜5,000円
肺炎球菌(成人用)任意65歳以上1回約6,000〜10,000円
おたふくかぜ任意1歳以上2回約5,000〜7,000円
帯状疱疹任意50歳以上1〜2回約8,000〜22,000円
新型コロナ定期(65歳以上等)高齢者等年1回約7,000〜16,000円

注意点として、定期接種の対象年齢を過ぎると任意接種扱いとなり、全額自己負担になります。母国で接種していないワクチンがある場合は、かかりつけ医に相談しましょう。

大人の外国人が特に注意すべきワクチン

成人として日本に来た外国人が特に確認すべきワクチンがあります。母国での接種歴と日本の推奨ワクチンを照らし合わせ、不足しているものがないか確認しましょう。

麻疹(はしか)・風疹

麻疹は非常に感染力が強く、日本でも定期的に流行が発生しています。CDC(アメリカ疾病予防管理センター)も日本渡航者にMMRワクチンの確認を推奨しています。特に1972年〜2000年生まれの方は、1回しか接種していない可能性があるため、2回接種が完了しているか確認してください。風疹は妊娠中に感染すると先天性風疹症候群のリスクがあるため、妊娠を計画している方やそのパートナーは特に注意が必要です。

インフルエンザ

日本では毎年冬(12月〜3月)にインフルエンザが流行します。予防接種は10月〜12月頃に受けるのが理想的です。費用は約3,000〜5,000円で、健康保険の適用外ですが、一部の自治体や企業が補助を行っています。

日本脳炎

東南アジアや南アジア出身の方は接種済みの場合もありますが、欧米出身の方は未接種のことが多いワクチンです。日本では蚊を媒介として感染するリスクがあり、特に田舎や農村部に住む方は接種を検討してください。

帯状疱疹

50歳以上の方は帯状疱疹ワクチンの接種が推奨されています。水ぼうそうにかかったことがある方は、ウイルスが体内に潜伏しており、免疫力が低下すると帯状疱疹として発症する可能性があります。

予防接種を受ける手順と流れ

日本で予防接種を受ける際の具体的な手順を紹介します。

ステップ1:接種歴の確認 母国での予防接種記録(ワクチンパスポートや母子手帳に相当するもの)を準備します。英文の接種証明書があると医師とのコミュニケーションがスムーズです。

ステップ2:医療機関の選択 かかりつけ医、または予防接種を行っている病院・クリニックを探します。外国語対応可能な医療機関は、AMDA国際医療情報センターや自治体の多言語医療情報サービスで確認できます。日本の医療制度に関する基本情報も事前に確認しておきましょう。

ステップ3:予約と問診票の記入 多くの医療機関では予約が必要です。問診票は日本語で記入する必要がありますが、一部の自治体では多言語版を用意しています。体温測定も必要となるため、当日は体調を整えて受診してください。

ステップ4:接種と経過観察 接種後は30分間は医療機関で待機することが推奨されています。これは重篤な副反応(アナフィラキシーなど)が接種直後に起こる可能性があるためです。接種後は激しい運動を避け、入浴は可能ですが注射部位を強くこすらないようにしましょう。

ステップ5:接種記録の保管 接種証明書は大切に保管してください。帰国時や他国への渡航時に必要になることがあります。日本では母子健康手帳に記録されますが、成人の場合は医療機関が発行する接種証明書を保管します。

注射生ワクチンの接種間隔に関する注意点

ワクチンには「生ワクチン」と「不活化ワクチン」があり、接種間隔のルールが異なります。厚生労働省のワクチン情報ページで最新の規定を確認できます。

2020年10月の制度改正により、接種間隔の制限が緩和されました。現在のルールは以下の通りです:

  • 注射生ワクチン→注射生ワクチン:27日以上の間隔が必要
  • 経口生ワクチン→他のワクチン:制限なし
  • 不活化ワクチン→他のワクチン:制限なし
  • 同じワクチンの複数回接種:各ワクチンで定められた間隔を遵守

同時接種(複数のワクチンを同日に接種すること)は、日本でも広く行われており、医学的に安全とされています。スケジュールを効率的に進めるために、かかりつけ医と相談して同時接種を検討してください。

日常生活での感染症対策

ワクチンだけでなく、日常生活での感染症対策も重要です。日本では特に以下の衛生習慣が根付いています。

マスク着用

日本では風邪やインフルエンザの症状がある場合、マスクを着用するのが一般的なマナーです。花粉症の時期(2月〜5月)にもマスクをする人が多くいます。薬局やコンビニで手軽に購入できます。日本の文化・マナーとして覚えておくとよいでしょう。

手洗い・うがい

日本では帰宅時の手洗い・うがいが幼少期から習慣化されています。特に感染症の流行期には、こまめな手洗いとアルコール消毒が推奨されます。多くの施設入口にはアルコール消毒液が設置されています。

食中毒対策

日本の夏(6月〜9月)は高温多湿のため、食中毒のリスクが高まります。生ものの取り扱いには注意し、調理器具の消毒、食品の適切な保存温度管理を心がけましょう。日本の食文化では刺身など生食が一般的ですが、体調がすぐれない時は加熱調理されたものを選びましょう。

蚊やダニへの対策

日本脳炎やデング熱は蚊が媒介する感染症です。夏場は虫除けスプレーの使用や、長袖の着用が効果的です。ハイキングやキャンプなどのアウトドア活動では、ダニ対策(SFTS予防)も重要です。

子どもの予防接種スケジュール

日本で子育てをしている外国人にとって、子どもの予防接種スケジュールは特に重要です。Know VPD!の予防接種スケジュールで詳細な接種時期を確認できます。

日本の定期接種は生後2ヶ月から始まります。主なスケジュールは以下の通りです:

  • 生後2ヶ月:B型肝炎、ロタウイルス、ヒブ、小児用肺炎球菌(同時接種可)
  • 生後3ヶ月:四種混合(ジフテリア・百日せき・破傷風・ポリオ)
  • 生後5ヶ月:BCG
  • 1歳:MR(麻疹・風疹)、水痘、おたふくかぜ(任意)
  • 3歳:日本脳炎
  • 小学校入学前:MR 2回目
  • 小6〜高1(女性):HPV

母国の接種スケジュールと日本のスケジュールが異なる場合は、小児科医と相談して調整しましょう。母国で一部の接種を済ませている場合は、接種記録を持参し、残りの接種を日本で受けることが可能です。

予防接種に関する通知は市区町村から届きますが、日本語のみの場合がほとんどです。多言語対応がある自治体もありますので、窓口で確認してみてください。

医療機関の探し方と費用の節約方法

予防接種を受ける医療機関の選び方と、費用を抑える方法を紹介します。

外国語対応の医療機関を見つける

  • JNTO医療機関検索Japan National Tourism Organizationが提供する医療機関リスト
  • 自治体の多言語医療ガイド:各市区町村の国際交流協会で入手可能
  • 大学病院・総合病院:外国語対応のスタッフがいる可能性が高い

費用を抑えるポイント

  1. 自治体の助成制度を活用:インフルエンザや帯状疱疹など、一部の任意接種に助成金を出している自治体があります
  2. 会社の福利厚生を確認:企業によってはインフルエンザ予防接種の費用を負担してくれます
  3. 健康診断と同時に受ける:年1回の健康診断の際に合わせて接種できる場合があります
  4. 複数の医療機関を比較:任意接種の料金は医療機関によって異なるため、事前に確認しましょう

日本の銀行口座を開設していれば、クレジットカードや電子決済で支払いが可能な医療機関も増えています。

緊急時の感染症対応

感染症にかかってしまった場合の対応方法も知っておきましょう。

発熱や体調不良の場合は、まずかかりつけ医に電話で相談してください。感染症の可能性がある場合は、直接受診せず電話で指示を仰ぐのがマナーです。

夜間・休日の急な発熱には、各自治体の救急相談ダイヤル(#7119)を利用できます。英語対応している地域もあります。防災・緊急時対応ガイドも合わせて確認しておくと安心です。

感染症法に基づく届出対象疾患(結核、麻疹、新型コロナなど)に感染した場合は、医療機関が保健所に届出を行います。保健所から連絡があった場合は、指示に従って療養してください。

職場への報告については、日本のワークカルチャーとして、感染症にかかった場合は早めに上司に連絡し、出勤停止期間を確認することが重要です。インフルエンザの場合は、発症後5日間かつ解熱後2日間は出勤を控えるのが一般的なルールです。

まとめ

日本での予防接種と感染症対策は、外国人にとっても重要な健康管理の一部です。定期接種は住民登録があれば無料で受けられること、任意接種でも自治体や企業の助成制度を活用できること、そして日常的な衛生管理(手洗い・マスク・食中毒対策)が日本の感染症予防の基本であることを覚えておきましょう。

母国での接種記録を持参し、かかりつけ医と相談して不足しているワクチンを補完することが大切です。特に麻疹・風疹、インフルエンザ、日本脳炎は日本生活において確認しておくべきワクチンです。お子さんがいる方は、日本の定期接種スケジュールに沿って適切な時期に接種を受けさせましょう。

健康に不安がある方は、日本の健康保険・医療制度ガイドを参考に、適切な医療機関を見つけて相談してください。予防接種は、あなたと周りの人々の健康を守る最も効果的な手段の一つです。

ブイ レ クアン
ブイ レ クアン

ベトナム出身、来日16年以上。名古屋大学卒業後、日本企業・外資系企業で11年の実務経験。外国人の日本生活情報を発信。

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